甘く柔らかく美味しいシロギス。刺身はもちろん、さまざまな料理が楽しめる
【おいしさ度】★★★★☆
淡白でクセのない白身で、漢字では魚偏に喜ぶと書く字=「鱚」の通り、誰にでも喜ばれる味わいである。旬は晩春〜夏で、産卵後は味が落ちるが、秋にはまた回復する。
江戸前では代表的な天ぷらのネタであり、ほかに塩焼き、刺身、フライ、唐揚げなどでおいしい。昆布締めや一夜干しなども美味。
【刺身・昆布締め・寿司】
ウロコを引き、頭を落とした後、三枚におろして皮をひいた身は、そぎ切りや細長い糸造りにして盛りつける(写真上)
酒で戻した昆布に身を挟み、しっとりとするまで置いた昆布締めも絶品。ほどよく水分が抜け、昆布のウマミを吸ったシロギスは、刺身とは違ったまろやかな味わいが特徴だ(写真中)
刺身、昆布締めいずれも、握り寿司にするのもオススメ(写真下)
【押し寿司】
さっぱりと酢締めにしたものを押し寿司にするのも美味しい。
シロギスは三枚におろして、腹骨を取ってから軽く塩を振ってしばらく置く。その後戻した昆布と酢に好みの漬かり具合になるまで浸す。
押し型に皮が下になるようにシロギスの酢締めを敷き、上から酢飯を乗せて、ギュッと押す。
よく切れる包丁で切り分けよう。
【天ぷら】
淡シロギスの天ぷらといえば、代表的な江戸前の味。衣はサックリ、キスの身はふんわりとしていて、飽きない美味しさだ。
頭を落として背開きにして背骨を除き、できれば腹骨を取り除く。天ぷら衣を作り、軽く小麦粉をはたいたシロギスを衣にくぐらせ、カラリと揚げる。季節の野菜も揚げて添えよう。
【フライ】
天ぷらと同様に開き、塩コショウで下味をつけてから小麦粉・溶き卵・パン粉を順にくぐらせば、フライに。サクサクとしたフライ衣とシロギスの柔らかな白身のマッチングも最高。タルタルソースやソースなど、好みの味でいただこう。
【パン粉焼き】
クセのない味なので、チーズやニンニクなどで味にアクセントを付けると飽きずにいただける。
シロギスは開きか三枚におろして、塩コショウを振って耐熱皿に並べる。
パン粉、粉チーズ、おろしニンニク、パセリかバジル、オリーブ油を混ぜ、キスの上に乗せ、オーブントースターなどで、パン粉に薄く焦げ目が付いてパリッとなるまで焼き上げる。
【ハーブソテー】
パン粉焼きと同様、ローズマリーの葉を散らして、香りにアクセントを付けたソテー。シロギスは開くか三枚におろして、塩コショウを振ってしばらく置いてから、小麦粉とローズマリーの葉のみじん切りを全体にまぶし、多めの油を敷いたフライパンで、両面をカリッと焼く。
【オイル煮】
カタクチイワシのサーディンのシロギス版。そのまま食べても美味しいし、ほぐしてパスタやサラダなどに使ってもいい。
ウロコを取り、頭と腹の部分を切り落としたシロギスに、塩を振ってしばらく置く。
浅い鍋かフライパンにシロギスを並べ、ローズマリーの枝、赤唐辛子、にんにく数かけを散らし、油(オリーブ油がベター)をひたひたになるまでかける。
ゆっくりと弱火で小さな泡が静かに出る程度の火加減で、10分ほど熱する。冷めてから密封容器などに入れて保存すれば、1週間程度はおいしくいただける。
【干物】
干物にすると、水分が抜けて味が凝縮するので、ひと味違った美味しさが楽しめる。
シロギスは片袖開き(下の写真のように頭は残して身体のみ開く)か全部開いて内臓を除き、海水程度の塩水にしばらく漬ける。
風通しの良いところで網などに乗せ、半日ほど干す。
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