【分類・分布】
カサゴ目フサカサゴ科メバル属に分類される。フサカサゴ科は400種以上が属する大きな科で、ヨロイメバルが属するメバル属には、メバル、タケノコメバル、ウスメバル、エゾメバル、クロソイ、ムラソイ、オウゴンムラソイ、アコウダイ、バラメヌケ、ヤナギノマイ、コウライキツネメバルなど、世界的には102種、日本近海だけでも30種類以上が分類されている。そのなかで、メバルと名の付く魚は13種だ。
分布域は、太平洋側の岩手県以南、日本海側は新潟県以南とされてきたが、現在は青森県での棲息も確認されている。
【形態】
同じ属内には全長50㎝を超えるサイズまで成長する種も多いが、ヨロイメバルは最大で全長20㎝ほどの小型種である。
名前にはメバルと付くが、姿形はむしろカサゴに似ており、釣りのベテランでも間違えることが少なくない。茶褐色〜赤褐色の体色に、数条の淡赤褐色と暗褐色の不規則な横縞模様があり、尾ビレに白い横縞があるが、やや不鮮明。棲息地によって色の変化が大きい。
ゴツゴツしたかんじの外見は、メバルというよりカサゴによく似ている。
【生態】
メバルやカサゴなどと同様に、沿岸域の岩礁帯や藻場などに棲息する。また、仔魚は冬頃に流れ藻とともによく採集される。
肉食性で、主に小型甲殻類や多毛類などを好んで捕食する。
メバル属のほかの魚にも多く見られるように卵胎生。卵胎生とは雌の親が卵を体内で孵化させて子を産む繁殖形態のことで、体内で子が成長してから水中に出るため、卵で産むよりも生き残りやすい。その一方、同サイズの卵生の魚が産む卵に比べ、卵胎生の魚の子の数はかなり少ない場合が多い。
【文化・歴史】
名前はその見かけ通り、ゴツゴツとした印象の外見が鎧を身にまとったところを連想させることから付いた。英名は、armorclad rockfishで、これも「鎧を着た、武装した根魚」といった意味である。
地方名は、モヨ(秋田県)、フジメバル(広島県)、ヒイチカサゴ(神奈川県三崎)、モアラカブ(長崎県)、リョウホゴ(鹿児島県)、ハツメ(富山県)、ガガネ、スミカサゴ、ホゴなど。ほかのメバル・ソイ類と混称されていることもある。
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