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アカカマス【赤魳】生態編

【分類・分布】

カマスの仲間には、アカカマス、ヤマトカマス、オオカマス、タイワンカマス、オニカマスなど、世界で18種ほどが報告されており、バラクーダ (barracuda)という英名でも知られている。
いずれも南方系の海水魚で、熱帯・温帯の海に広く分布する。沿岸域に棲息していて、サンゴ礁や岩礁の周囲で群れをつくり、活発に泳ぎ回る。食性は魚食性で、イワシなどの魚を襲って捕食する。
日本でよく見られるのはアカカマス、アオカマス、ヤマトカマスの3種。一般的に「カマス」「ホンカマス」と呼ばれているのがアカカマス。「ミズカマス」という別名で知られているのがヤマトカマスだ。アカカマスは房総以南から南シナ海にかけて広く分布するが、ヤマトカマスと混棲することが多い。

【形態】

アカカマスの体は細長く、頭は細くとがっていて下アゴは上アゴより突き出し、上下両アゴに牙状の強い歯がある。背ビレは離れており、胸ビレは短く、腹ビレは胸ビレの基部よりやや後方にある。
アカカマスとヤマトカマスはよく似ているが、アカカマスの背ビレは腹ビレよりも後ろ側からはじまるのに対して、ヤマトカマスの背ビレは腹ビレとほぼ同じ位置からはじまる。また、体色はアカカマスでは背面が赤味を帯びた黄褐色だが、ヤマトカマスでは灰色か淡い灰褐色だ。
そのほか、アカカマスはヤマトカマスに比べてウロコのきめが粗いこと、また、最大で50cm以上に達するアカカマスに対して、ヤマトカマスは30cmほどまでしか成長しないなどの違いもある。


上がアカカマス、下がヤマトカマス

【生態】

アカカマスの産卵は6~8月とされ、ワンシーズンに数回分けて放卵する。1回の産卵で20万粒を産み、産卵期間を通して、多いものでは100万粒前後を放卵する。
卵は0.7~0.8㎜の球形で、バラバラに分離して浮遊する。受精した卵は、水温21~26℃では24~30時間で孵化。孵化直後は全長1.75㎜ほどだが、全長7㎜くらいに成長すると、第2背ビレや尻ビレがほぼ完成。その後、腹ビレや第1背ビレが出てきて、成魚に近づいてくる。
体長5~10㎝の幼魚時代は、海藻の生えている岸近くの海面から5~30㎝の上層を群泳する。成長するにつれて沖の岩礁の根に移動して大きな群れをつくる。1年で25㎝、2年で30cm、2.5年で32㎝あまりになり、最大で50㎝以上にまで成長する。

【文化・歴史】

江戸時代には機織りの横糸を通す梭(さ)に姿が似ているところから、梭魚、梭子魚(さしぎょ)ともいわれた。また、雑穀や塩、石灰また魚の塩干物をいれる袋を叺(かます)という。叺は蒲簀(かます)とも書き、もともと蒲を編んで作ったことから、その名がある。叺は、ワラムシロを二枚重ねるか半分に折って縫い合わせただけの袋で、口が大きいという共通点から、カマスの名がついたといわれる。

カマスの干物は、室町時代からはじまったといわれており、江戸時代の初期には、干物が売られていたことが古記に記されている。元禄8年(1695年)に発行された『本朝食鑑』(小野必大著)には、「カマスは各地の海でとれ、干物にして盛んに賞味されている。脂の多いものは淡赤色、脂の少ないものは黄白色で、京都や難波の魚市場では1.2寸(3~6㎝)ほどのカマスの子がよいものとされている」と書かれている。
また、正徳2(1712)年に発行された『和漢三才図会』(寺島良安編)には、「カマスの干物は6~7寸(18~21㎝)のものが多く、備前(現岡山県)から干物として出荷している」とある。さらに、江戸時代後期の天保2(1831)年に発行された『魚鑑(武井周作著)』にも、「カマスは生でそのまま焼いて食べてもよく、干物にしたものもまたうまい」と記され、これらの古書から、カマスが江戸時代を通じて干物として賞味されていたことがわかる。

アカカマスには多くの地方名がある。ヤマトカマスに比べてウロコが粗いことから「アラハダ」。魚体が円筒形で、竹笛の尺八に似て、体長も約一尺八寸ほどあるということから「シャクハチ」。また、赤みを帯びた褐色の体色の意から、「ドロカマス」。その他、オキカマス、アブラカマス、ヤエカマス、ナダカマス、ヤヨイなどの呼び名がある。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池を釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。これまで釣った魚は350種以上。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者として独立。自著執筆のほか、多くの雑誌・書籍の編集に携わる。TVCFなどのフィッシングアドバイザー、DIYアドバイザーも務める。
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