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バショウカジキ【芭蕉梶木】生態編

バショウカジキ【芭蕉梶木】

【分類・分布】

バショウカジキは、スズキ目マカジキ科バショウカジキ属に分類される海水魚。長大な背ビレが特徴のカジキで、釣りの対象として人気が高い。マカジキ科には、クロカジキマカジキ、シロカジキなどが分類される。カジキ類は「カジキマグロ」という呼び方をされるが、マグロ類はサバ科の魚なので、分類上近種というわけではない。
インド・太平洋の熱帯・亜熱帯・温帯域に広く分布し、沿岸海域を回遊する傾向が強い。ニューギニア近海、ソロモン群島、フィリピン近海から日本近海にかけての黒潮流域、およびメキシコ太平洋岸などはバショウカジキ群の回遊域として知られている。オーストラリア・タヒチ・ハワイなどにも本種の回遊が見られるが、南米太平洋岸にはほとんど見られない。インド沿岸、セイロン近海にも多くのバショウカジキの回遊が見られる。

【形態】

最大でも100㎏以下と、カジキ類のなかでは小型。ほかのカジキ類同様に上アゴが伸びているが、他種に比べて第1背ビレが大きく発達するのが特徴だ。腹ビレは細長く、吻とほぼ同じ長さになる。
第1背ビレの鰭膜は濃青色で、その上に小黒点が散在する。その他の各ヒレは黒褐色を帯び、ときに濃青色を帯びる。体側に淡青色の数個の円点からなる横縞模様が10数列あるが、個体によってはっきり出るものと出ないものがある。
カジキ類のなかで本種はもっとも速く泳ぐことができ、その速度は54ノット(時速100㎞)以上といわれる。
多くの高速遊泳魚に共通することであるが、体は紡錘形をしており、水の抵抗を受けにくい。また、体の後半部の筋肉が発達しており、柔軟な背骨を左右にしならせることで強い推進力を得る。第一背ビレと尻ビレには、ヒレを格納するための溝があり、高速遊泳時にはこの溝にヒレを収納し、ブレーキをかけるときにヒレを大きく広げる。鎌のような三日月型の尾ビレは、長時間の持続的遊泳と短時間の爆発的遊泳の両方に適した形状である。尾柄には水平隆起線があり、遊泳時には小さな翼となって水から揚力を得ると同時に、横揺れを防ぐ効果もある。
さらなる特徴として、筋肉に「奇網」という熱交換器官を備え、まわりの海水よりも体温を高く保てることがある。これは、水温が低いと筋肉の動きが鈍くなる変温動物である魚の短所を克服するものだ。
バショウカジキ【芭蕉梶木】
巨大な背ビレがバショウカジキの特徴。芭蕉の葉に例えられてその名がついた


【生態】

ほかのカジキ類と同様に外洋回遊性だが、もっとも沿岸に近づく性質がある。日本近海では、東北地方以南に分布するが、北海道でもまれに見られる。秋になると、対馬暖流に乗って日本海側にも回遊してきて、沿岸の定置網で漁獲されることがある。大きな群れは作らず、単独、あるいは数尾ほどの小さな群れで行動する。
食性は肉食性で、エサとなるイワシ、アジ、カツオ、イカ類を見つけると、長い吻で叩き、弱らせてから捕食する。捕食のときなど、興奮すると巨大な背ビレはミッドナイトブルーに光り輝く。
第一背ビレは普段は折りたたまれて目立たないが、背ビレを水面上に広げて泳ぐことがある。その他、獲物を追って急旋回するときなどにも大きく広げる。帆のように広がることから、英語では「Sailfish(セイルフィシュ)」と呼ばれ、日本語では真っ直ぐな葉脈のあるバショウの葉にたとえられる。
日本近海産のものは、4~8月にフィリピン東方海域で産卵する。幼魚は第1背ビレと第2背ビレが連続しているが、成長するにつれ小さな第2背ビレが分離する。


【文化・歴史】

日本での地方名はビョウブサシ(富山・石川)、ミノカジキ(神奈川)、スギヤマ(三重・和歌山)、バショウ、バンバ(高知)、バレン(山口・福岡)、ハウオ(長崎)、アキタロウ、ゲンバ(鹿児島)など多彩。鹿児島県では、バショウカジキは秋の訪れを知らせる風物詩として昔から「秋太郎」として親しまれ、秋の「かごしま旬のさかな」にも選定されている。
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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池・・・と、ホソのマブナから南海のジャイアント・トレバリーまでを釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
出版社で雑誌編集に携わった後、独立。それを機に家族とともに房総の漁師町へ移住する。釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者。詳しくはこちらへ。

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