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カサゴ【笠子】生態編

【分類・分布】

カサゴ目フサカサゴ科カサゴ属に分類される。カサゴが属するフサカサゴ科(メバル科とされることも)は大きなグループで、釣りの対象魚としても人気のメバルムラソイなど数多くの魚種を含む。

カサゴには、アヤメカサゴやイズカサゴ(釣り人のいうオニカサゴ)、ウッカリカサゴなど、なかなか見分けがつかない近縁種が多い。アヤメカサゴは黄色いまだら模様で比較的容易に判別することができるが、とくにウッカリカサゴは、その名が示す通り「うっかり」カサゴと間違えてしまうほど判別が難しい。ウッカリカサゴは1978年、ソ連の学会誌に新種として発表されたもので、その後、魚類学者である阿部宗明(あべ・ときはる)氏が「日本の魚類学者もうっかりして新種と気付かなかった」と、この和名をつけた。

本種の分布域は、北海道南部以南〜東シナ海と幅広い。

【形態】

カサゴで特徴的なのは頭部の棘で、鼻、眼の前・上・後ろ、耳、額、そして頭と頭頂に1対ずつの棘がある。アヤメカサゴには、これらの棘にくわえて眼の下方にも棘がある。

体色は個体や生活環境による変異が大きく、濃い褐色から赤味を帯びたものまでさまざま。一般に、浅場にいるものは黒っぽく、深場になるほど赤っぽくなるといわれている。海の深いところでは赤い光が届かないので、赤っぽい色が保護色となるためと考えられる。また、カサゴの胸ビレの付け根付近にある暗色斑は、ウッカリカサゴと判別するひとつの手だてとなる。

【生態】

沿岸の岩礁帯に棲み、主に夜行性で日没後にエサをとる。成魚は甲殻類やハゼ、トラギスなどの小魚、さらにはヒザラガイやフジツボまで食べる。0歳の未成魚は、アミや多毛類も捕食する。

大部分が2歳・15~16㎝で成魚になり、メスは11~12月に成熟する。抱卵数は2歳で10,000粒程度だが、4〜5歳になると70,000粒ほどと非常に多くなる。胎内で受精する卵胎生で、オスが成熟する10~11月初旬に交尾し、メスの卵が成熟する11月ごろに受精する。仔魚は12~2月に約15日間隔で3、4回にわたって産まれ、20㎜近くに成長すると浮遊生活から底棲生活に移行する。成魚は体長20㎝ほど、最大で30㎝ほどにまで成長する。

カサゴは縄張りをもつことでも知られており、激しく縄張り争いをする光景も観察されている。しかし、放浪性の個体や、定住するものの縄張りはもたない個体など、さまざまな性質をもち、行動の異なる個体が混在する。

なお、ウッカリカサゴとアヤメカサゴは、カサゴより深いところに棲息する。また、カサゴが岩礁帯に棲息するのに対し、イズカサゴは砂泥底に棲息している。

【文化・歴史】

カサゴの地方名は、近畿・四国ではガシラ、ガシ、熊本・鹿児島ではアラカブ、ガラカブ、ガブ、岡山ではアカメバル、アカチン、宮崎ではガガラ、ホゴというように非常に多彩。

漢字では「笠子」、もしくは「瘡子」と書き、前者は頭部が大きく笠をかぶっているようにみえるところから、後者は皮膚がただれて瘡蓋(かさぶた)ができたようなゴツゴツした顔をしているところからきている。また、地方名のガシラとは、頭(かしら)が大きい魚というところからつけられたといわれる。

カサゴは武骨でいかにも勇ましい面構えをしているところから、江戸時代には端午の節句の祝魚として用いられた。また、佐渡島では魔除けとしてカサゴの干物を軒先に吊るしたという。反面、カサゴをマイナスイメージにとらえた話もある。ひとつは、「磯のカサゴは口ばかり」ということわざ。これは、カサゴは大きな口に対して食べる部分が少ない、つまり、口先ばかりで実行力がないことを意味する。

また、寛政の末、カサゴが江戸に出回ったが、味がよくなかったことから、愚か者を意味する「あんぽんたん」と呼ばれたこともあったという。くわえてその面構えから「つら洗わず(顔を洗っていない)」とも呼ばれた。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池を釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。これまで釣った魚は350種以上。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者として独立。自著執筆のほか、多くの雑誌・書籍の編集に携わる。TVCFなどのフィッシングアドバイザー、DIYアドバイザーも務める。
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