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タマガンゾウビラメ【玉雁瘡平目】生態編

 タマガンゾウビラメ【玉雁瘡平目】

【分類・分布】

カレイ目ヒラメ科ガンゾウビラメ属に分類される海水魚。ヒラメ科は、ヒラメ属ヒラメのほか80種ほど分類されていて、体の左側に両目がある種。ガンゾウビラメ属には、本種のほかにガンゾウビラメ、タイワンガンゾウビラメのほか、テンジクガレイ、メガレイ、ナンヨウガレイと名前にカレイとつく種もいる。日本近海で見かけるのは、主に本種とガンゾウビラメ、テンジクガレイ。
北海道南部から南シナ海まで広く分布するが、沖縄諸島では見られない。

【形態】

最大でも全長25㎝ほどの小型のヒラメの仲間。いわゆるヒラメ型の強く側扁した体型だが、ヒラメよりもやや丸みを帯びている。
背ビレは眼よりも口寄りの部分から始まり、尾の付け根周辺までと長い。同様に、尻ビレも胸ビレの基部直下から始まり、尾の付け根まで至る。尾ビレは上下葉を斜め真っ直ぐに切り落としたような中央部後端が突出した形状となっている。
「左ヒラメに右カレイ」と区別するように、本種も両目が頭部の左側に偏っている。口は大きく、眼の中央部を超え、口内には歯が1列に密生して並ぶ。
体色は茶褐色で、背面に5個の斑紋があるのが特徴。周囲が褐色で中央が黒い眼状班が、側線を挟んで4個2対はほぼ規則正しく並び、尾側の側線付近にもうひとつの斑紋がある。体側には、ほかにも白~褐色の小斑が多数散らばっていて、腹側は白く、やや透き通っている。
近縁種とは、背面の斑紋の違いで見分けられる。ガンゾウビラメは、頭寄りの側線上に斑紋がひとつだけある。テンジクガレイは、側線上にふたつの目立った斑紋があり、背面全体に無数の虫食い状の斑紋がある。また、タマガンゾウビラメは小型であるが、ガンゾウビラメは最大で50㎝、テンジクガレイは30㎝まで成長するため、その全長も判断の目安となる。
タマガンゾウビラメ【玉雁瘡平目】
タマガンゾウビラメは、眼状紋が4個2対ほぼ規則正しく並び、尾の近くにもうひとつあるのが特徴


【生態】

水深30~100m程度の砂泥底に棲息している。主なエサはアミ類、エビやカニなどの小型の甲殻類で、小魚、イカ類なども食べる。産卵期は3~8月頃。1年で全長7~17㎝、2年で14~23㎝ほどまで成長する。全長10㎝程度から成熟し始め、寿命は3年程度とされる。


【文化・歴史】

ガンゾウとは、雁が飛来する時期に流行るという皮膚病のような、ウロコが粗雑でガサガサした感じの体表をしていることから付いた名前。英名ではFivespot flounderで、背の特徴的な5個の斑紋から付いたものだ。学名のPseudorhombus pentophthalmusも同様に、「5個の眼のヒラメ」という意味をもつ。
地方名は、ヒガレ(和歌山)、デビラ・デベラ、デンベラ(広島、山口、大分、四国)、フナベタ(新潟)、ウスバガレイ(福井)、ガンゾウ(大阪)、ベタガレイ(兵庫)、ベタ(高知)、ヒガレイ(徳島)、ガンザ・ガンゾ(香川)、シロベタ(大分)など。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池・・・と、ホソのマブナから南海のジャイアント・トレバリーまでを釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
出版社で雑誌編集に携わった後、独立。それを機に家族とともに房総の漁師町へ移住する。釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者。詳しくはこちらへ。

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