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ブリ【鰤】生態編

【分類・分布】

ブリは、スズキ目アジ科ブリ属に属する大型肉食海水魚。アジ科には30属150種が分類され、アジムロアジシマアジツムブリカスミアジギンガメアジカイワリなど、釣りや食卓でおなじみの魚が多い。同じブリ属に分類されるのは、カンパチヒラマサ、ヒレナガカンパチなど。

温帯性の魚で、黒潮と対馬暖海域の沿岸水帯に分布し、日本の沿岸各地、そして北はカムチャッカ半島の南部、南は台湾までに棲息する。季節によって棲息域を変える回遊魚であり、春~夏には沿岸域に寄って北上し、初冬から春には沖合を南下する。ただし、温暖な南方海域では、回遊せずに瀬着きになるものもいる。

【形態】

成魚は最大で全長150㎝、体重40㎏の記録があるが、通常は全長100㎝、体重8㎏程度まで。体は美しい紡錘形で、あまり側扁しない。背は暗青色で、腹は銀白色。吻端から尾端までの体側中央部に、1本の幅広い黄色の縦帯がある。背ビレと尾ビレの付け根が窪んでいるが、これは高速で泳ぐときにヒレを体に密着させるためである。

ブリには、頭が大きくて痩せているうえに側線の際立つもの、逆に、頭が小さくて太っているものと2タイプある。前者は九州などの南海域に棲息する瀬着きのキブリで、後者は回遊するタイプのアオブリと分類されているが、どちらも同じブリである。

同属のヒラマサとよく似ているが、ブリは上アゴ上後端が角張ること、胸ビレは腹ビレより長いか同長であること、体はあまり側扁しないこと、黄色い帯がやや不明瞭なことで区別できる。


一番わかりやすいヒラマサとの相違点は、上アゴの後端がブリは角張っていて、ヒラマサは丸みがある部分。

【生態】

通常は群れをつくり、やや沖合の水深100m程度の中層から低層を遊泳する。生活圏は海底〜表層まで広範で、とくにワカシの頃まではこの傾向が強いが、ワラサ、ブリ級に成長すると中層〜底層が主な生活圏になる。

生後約3年で産卵を始める。産卵場は薩南海域や足摺岬沖などいくつか知られているが、東シナ海の水深200mの大陸棚縁辺部が主な産卵場になっている。東シナ海では2~3月、九州近海では4~5月が産卵のピークで、1腹で約100万個の卵を産む。

卵の大きさは直径約1.3㎜で、水温約20℃で2~3日で孵化。生まれた稚魚は尾叉長3㎝くらいの大きさで、流れ藻に着き、「モジャコ」と呼ばれる。体色は流れ藻と同じような黄褐色をしており、それが黒潮と対馬暖流に流され、太平洋と日本海を北上していく。

尾叉長7㎝の大きさになると「ワカナゴ」と呼ばれ、流れ藻を離れて沿岸の浅い場所に移動し、内湾や内海で生活するようになる。体色は背が青っぽく、そして腹が白っぽく変化していく。3歳になると尾叉長60㎝、体重3㎏ほどになって成熟し、夏に北上して秋に南下して産卵場へ戻るという南北大回遊をする。

典型的なフィッシュイーター(魚食魚)で、夜間も捕食活動をする。成長が極めて早いだけに食欲も旺盛だ。稚魚期は小型の甲殻類を食べ、若魚になるとカタクチイワシイワシ、コオナゴ、アジサバ、イカなどのほか、シラスやアミなどの動物質のエサを活発に摂取する。


サイズによって呼び名が変わる魚のひとつ。写真のような70cm以上級が「ブリ」

【文化・歴史】

ブリは日本においては重要な食用魚であり、古くから親しまれてきた。文献上には500年前の室町時代・明応年間(1492~1501年)に 「はまち」という名で登場している。人間生活との深いつながりは、出世魚として各地で多数の呼び名を残した。

東京では、そのサイズに従って全長20㎝くらいを「ワカシ」、30~40㎝を「イナダ」、50~60㎝を「ワラサ」、70㎝以上を「ブリ」と呼ぶ。大阪では「モジャコ」「ツバス」「ハマチ」「メジロ」「ブリ」。ブリの本場・富山県では、「コズクラ」「フクラギ」「ガンド」「コブリ」「オオブリ」と、さらに細かく分けられている。その他、「アオ」「イナラ」「サワズ」「ハナジロ」「ワクヨ」など、全国で約100の呼び名があるといわれている。

ブリは大晦日の年越しの膳に饗される、いわゆる「年取り魚」に使われる特別な魚。日本列島を東西に二分する大地溝帯(フォッサマグナ)を境にして、年取り魚は東日本のサケ文化圏と、西日本のブリ文化圏に分かれている。冬の時期、サケは太平洋から遡上してきて東北地方でよく獲れる魚。一方、ブリは日本海から南下してきて富山湾や若狭湾でよく獲れる魚だ。サケ、ブリともに冬に向けて獲れる魚であり、保存すれば長期にわたって食べられる貴重なタンパク源だったため、年取り魚とされてきたのである。

ブリを年取り魚とする風習は、初代加賀藩主・前田利家の時代からあったといわれている。また、富山県氷見市に古くから残る文書では、ブリは出世魚ともいわれ昔から縁起のよい魚として大切にされてきた。富山県や石川県では、嫁の嫁ぎ先にブリを送る「嫁御鰤」という風習があるが、これは、お婿さんの出世を願い、嫁が嫁ぎ先で苦労しないようにという親の思いが込められているという。

ブリは古くから養殖されてきた魚。1960年頃から養殖が盛んになり、1971年には天然ブリの漁獲量を上回り、1978年には天然ブリの漁獲量の3倍以上となり、現在に至っている。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池を釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。これまで釣った魚は350種以上。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者として独立。自著執筆のほか、多くの雑誌・書籍の編集に携わる。TVCFなどのフィッシングアドバイザー、DIYアドバイザーも務める。
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