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ホウボウ【竹麦魚・魴鮄】生態編

ホウボウ【竹麦魚・魴鮄】

【分類・分布】

カサゴ目ホウボウ科ホウボウ属の海水魚。ホウボウ科に属する魚種には、本種のほか、カナド、トゲカナガシラ、カナガシラ、オニカナガシラなど、140種類ほどがいる。日本近海では、ホウボウ属よりもカナガシラ属やソコホウボウ属の魚が多い。
釣りの対象魚としてもっともポピュラーな本種は、北海道南部以南から黄海、東シナ海、南シナ海にかけて分布する。

【形態】

体形は円筒形で、頭部が骨板で覆われている。ウロコは小さく、手で触れるとザラザラしている。体の上部が灰褐色と赤のまだら模様、下部が白色で、背ビレと尾ビレに赤色斑がある。
ホウボウのトレードマークは、水平に広がる色鮮やかな胸ビレ。胸ビレの内側は濃いうぐいす色で、鮮やかな青に縁取られている。この鮮やかな胸ビレは、敵を威嚇するためのものと考えられている。また、胸ビレの下部にある3本の軟条はヒレから離れ、指のような動きをする。
本種は同科のなかで最大種で、ほかの種が30㎝程度までしか成長しないのに対し、40㎝程度まで成長し、最大では60㎝を超える。
カナガシラは、ホウボウと負けず劣らず美味な魚だが、こちらは胸ビレがオレンジ色であることから簡単に見分けられる。また、南日本以南に棲息するトゲカナガシラは、ホウボウと似たような鮮やかな胸ビレをもつが、その長さがほかのホウボウ科の魚と比べて著しく長い。こちらも食用とされるが、捕獲される数は少ない。
ホウボウ【竹麦魚・魴鮄】
広げると鮮やかな色をした胸ビレとユニークな形の魚体が個性的な魚だ
ホウボウ【竹麦魚・魴鮄】
カナガシラの仲間は、胸ビレが体色に近いオレンジ色をしているところが、ホウボウとの大きな違い

【生態】

ホウボウは、水深25~200m程度の砂泥底に棲息する。
産卵期は冬〜春。卵は分離浮遊性卵で、直径は1.2~1.3㎜。受精後、4~5日で孵化し、仔魚は浮遊生活をする。全長2㎝を超える頃になると、胸ビレの下の軟条が発達し始め、海底で生活するようになる。仔魚期は、成魚からは想像できない真っ黒な体をしている。
成長するに従ってより深いところへ移動して前述の水深に棲息するが、水深600mを超す深海でも確認されている。体長は1年で14㎝、2年で20㎝、3年で24㎝、4年で28㎝に成長し、成熟を迎える。
オスは浮き袋を収縮させてグーグーと鳴くことがあり、これがホウボウの名の由来ともいわれている。この音はメスを誘うためのものと考えられている。
普段は胸ビレを畳んで、体をくねらせて泳ぐが、異変を察知すると胸ビレを水平に広げて威嚇する。また、胸ビレの下にある3本の軟条(遊離軟条)を昆虫の脚のように動かして海底を歩くように移動し、エサを探す。軟条の先端には感覚細胞があって味を感じることができ、砂の中のエビやカニ、小魚、環虫類などを探し当てて捕食する。

【文化・歴史】

地方名はキミ、キミヨ、キミウオ(青森県~石川県)、ドコ(秋田県)、コトジ、カナガシラなど。「キミ」は君、すなわち殿様の意味で、殿様が食べる上品な魚というところからきている。また、近縁種のカナガシラと区別せずに呼ぶ地方もある。カナガシラとは「金頭」のことで、硬い頭を意味する。
マダイキンメダイアマダイなど多くの赤い魚と同じく、ホウボウも祝い魚として珍重されてきた。愛媛県の宇和島地方では、嫁迎えに仲人がホウボウを持っていく風習が残っているという。
特徴的なのは、子供の祝い事に用いられることだ。頭が硬く、鳴き声を出すので、子供の頭が硬くなるように、夜泣きをしないようにと、赤ちゃんのお食い始めや箸初めに供された。その他、七五三の祝いにホウボウを用いる地域もある。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池・・・と、ホソのマブナから南海のジャイアント・トレバリーまでを釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
出版社で雑誌編集に携わった後、独立。それを機に家族とともに房総の漁師町へ移住する。釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者。詳しくはこちらへ。

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