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マダラ【真鱈】生態編

【分類・分布】

マダラは、タラ目タラ科マダラ属に分類される海水魚。『Fishes of the world』(Nelso, 2006)の分類では、タラ亜科は北大西洋に分布する魚類を中心に12属25種が認められている。温帯に分布するものや汽水域に入るものもいるが、ほとんどの種類は寒帯・亜寒帯の冷たい海に分布しており、その多くが重要な水産資源として利用される。これらのうち、日本近海にはマダラ、スケトウダラ、コマイが分布している。

マダラは、カリフォルニア州サンタモニカ湾から茨城県沖を南限として、カナダ西岸、ベーリング海、およびオホーツク海までと、北太平洋沿岸に弧を描くように広く分布する。

【形態】

最大で全長120㎝、体重20㎏以上に達するマダラは、日本に棲息するタラ類3種の中では最大種である。体は紡錘形で、頭が大きく張り出しており、腹部が肥大する。上アゴは下アゴよりも突出し、下アゴの先端には1本のヒゲがある。ヒゲの長さは眼径の3/4以上といわれ、根元が黒い。このヒゲは「触ヒゲ」といって、一種の感覚器官であり、エサを捕食するときなどに大切な役目を果たしているという。
体色は褐色で、背側には不定形のまだら模様がある。消化器官に通じない浮袋を持ち、背ビレ3基、尻ビレ2基を備える。


マダラは最大で1m以上に成長する。スケトウダラより大型で体型が丸く、上アゴが出てヒゲがあるのが特徴


【生態】

冷水性の魚で、日本では北海道周辺に多く棲息する。分布の南限は、日本海側では島根県、太平洋側では茨城県。棲息水温は2~4度とされているが、氷点下や水温10度以上の場所でも分布が確認されている。

東北太平洋岸におけるマダラの棲息水深は100~550m。5月下旬~6月上旬に水深40~100m帯に着底し、水温が上昇する夏季に深場に移動する。そして10月頃には水深250m前後の大陸棚斜面上部に達する。産卵期になると、水深100m以浅の海域に来遊することが明らかになっている。

成長は海域によって異なり、北太平洋側では北ほど遅く、南ほど早くなる。一方、寿命は高緯度域ほど長い。太平洋の南部では6~8歳程度であるのに対し、アラスカ湾やベーリング海では11歳以上まで生きる。高緯度域ほど成長は遅いものの、寿命が長いため、最大体長は海域間でそれほど差異はない。

産卵期は、東北沿岸では12~2月、北海道西岸海域では12~3月。産卵は、雌雄ペア、もしくは一妻多夫で行われる。卵は直径1㎜前後の球形で、弱い粘着性をもっており、海底へと沈む。孵化した仔魚は、沿岸域で浮遊生活を送るが、成長とともに夏~秋に水深30~50mの海底生活に移る。
成長が早く、1年で体長16㎝、2年で30㎝、5年で60㎝程度になり、8年になると90㎝前後まで成長する。成魚は口が大きく、なんでも食べる大食漢。「たらふく食べる」に「鱈腹」の字を当てるほどである。仔魚期は動物性プランクトンを摂食するが、成長していくにつれて、貝類、頭足類、甲殻類、小魚など、さまざまな小動物を捕食するようになる。

【文化・歴史】

マダラと人との関わりは古く、江戸時代にまでさかのぼる。マダラを「新鱈」と呼び、青森から江戸の市場まで運んでいた。「新鱈」とは、腹を割かずに、口からエラ、内臓を取り出し、塩を腹に詰め込んだ塩蔵品のこと。腹を切らないことから、切腹を嫌う武家に珍重され、年越しや初午の祝膳には欠かせなかったという。

また、干しダラのひとつで、マダラを尾を付けたまま三枚におろし、頭と腹の部分を取って天日で乾燥させて作る「棒鱈」は、京都のおせち料理の定番食材として知られているが、実は北海道稚内市の特産物。稚内地方の早春は晴れて湿度が低く、風が強い日が多いため、棒鱈の製造に一番よい条件となっている。この地方で作られた棒鱈が遠く京都まで運ばれて、京都のお正月にはなくてはならないものとなったという。

『新釈魚名考』(榮川省造・1982年)では、はっきりとした斑紋を持つ蛇の蝮(まむし)を、古くは「まだら」と呼んでいたことや、魚にも体表に斑紋のあるものは「まだら」の地方名が多いことなどを例に挙げて、マダラという呼名は、体表に斑(まだら)があることによるものであろう、としている。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池を釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。これまで釣った魚は350種以上。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者として独立。自著執筆のほか、多くの雑誌・書籍の編集に携わる。TVCFなどのフィッシングアドバイザー、DIYアドバイザーも務める。
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