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クエ【九絵・垢穢】生態編

【分類・分布】

クエは、スズキ目ハタ科マハタ属に分類される海水魚。ハタ科は魚種が多様なグループであり、世界中の温帯から熱帯の海に広く棲息している。世界で64属475種が記録されており、日本だけでも30属129種もいる。クエの属するマハタ属だけで、日本産に限っても41種もいるほどだ。釣りのターゲットとしては、アカハタキジハタマハタカンモンハタなどがいる。
関東から西、南紀や四国、九州、東シナ海に分布している。

【形態】

成魚は、平均して全長60㎝ほど。しかし、まれに全長2m、150㎏前後に達する個体もいる。日本産のハタ類としては、タマカイ、マハタ、コクハンアラ、カスリハタ、オオスジハタなどと並ぶ大型根魚の代表格だ。
体色は淡い緑褐色で、体には6本の黒っぽい横縞模様があるが、前方のものほど傾斜するのが特徴である。体のどこにも暗色円斑はない。幼魚は体色が黒く、白っぽい明瞭な縞模様がよく目立つが、成長するにつれ模様が不明瞭になる。老成すると体全体が一様に暗色になり、目立った斑紋はなくなってしまう。

大型個体はマハタやハタモドキとも似るが、尾ビレ先端が白くないこと、また、体がやや細長いことで区別できる。


釣り上げられたクエ。マハタとよく似るが、尾ビレの端が白くないところがマハタと見分けやすいポイントだ

【生態】

クエは、外洋に面した水深50mくらいまでの潮通しのよい沿岸の岩礁域に棲息している。

日中は岩礁の巣穴の中に隠れ、夜間にエサを探し求めて活発に活動するといわれているが、実際には水槽観察などで薄暮型だとされている。また、浅海の磯では群れを作らず、単独行動をしているクエの観察がよく行われているが、深い魚礁に大きなクエが数十尾群がっていたという記録もある。

クエは遊泳力には優れず、エサが豊富な場所に居座り、岩礁域に棲む生物を捕食する。ムロアジ、メジナ、タカベなどの魚類のほか、イカ類やイセエビなどの大型甲殻類も、大きな口で吸い込むようにひと飲みにする。

産卵期は6月頃で、1尾当たりの産卵数は数百万にもなる。クエは、卵から孵化したときの大きさがマダイやヒラメなどの一般的な魚に比べて2/3程度と小さいが、 1歳で20㎝、2歳で40㎝・約1kgになる。幼魚は成魚とは形態が異なり、第2背ビレ棘と腹ビレ棘が長く、また前鰓蓋骨のすみにも長い1棘がある。これらの棘は、成長につれて目立たなくなる。
ハタの仲間は性転換することが知られているが、クエも小さいときにはメスで、10歳以上になるとオスになる雌性先熟の性転換魚である。

【文化・歴史】

クエは食用魚としての価値が非常に高く、現在では養殖も行われている。近畿大学が和歌山県で養殖と研究を行っているほか、長崎県や佐賀県などでは沿岸のイケスを利用した養殖を行っている。また、近年、東海農政局による海洋深層水を使った閉鎖循環式陸上養殖施設での養殖が、三重県尾鷲市などで試みられている。
静岡県温水利用研究センターでは、クエの完全養殖を成功させており、地元御前崎市の特産品として売り出している。クエは水温が低いと成長が止まるため、浜岡原発の蒸気冷却に使われた温排水を利用し、成長を促進させている。

クエの名は、古く967年に施行された『延喜式(平安時代中期に編纂された律令の施行細則)』にその名が見える。また1982年に出版された『新釈魚名考』のなかで、榮川省造は、老生魚は全体に暗褐色の薄汚い体色をしているので「垢穢=クエ」の名で呼ばれているのであろう、としている。そのほか、クエの由来としては、若魚の体に不規則な数条の紋があるので「九絵」という説もある。

九州では地方名で「アラ」と呼ばれるが、同じハタ科に属するアラとは別種である。ほかの地方名としてモロコ(西日本各地)、マス(愛知)、クエマス(三重)、アオナ(四国)などもある。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池を釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。これまで釣った魚は350種以上。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者として独立。自著執筆のほか、多くの雑誌・書籍の編集に携わる。TVCFなどのフィッシングアドバイザー、DIYアドバイザーも務める。
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