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イシダイ【石鯛】生態編

【分類・分布】

スズキ目イシダイ科イシダイ属の海水魚。北海道以南の温帯域に分布し、とくに南日本エリアに多く見られる。海外では朝鮮半島、台湾、中国の沿岸に分布する。
イシダイ属のうち、日本近海に棲息するのは、イシダイとイシガキダイのみ。分布域もほぼ重複する。

【形態】

典型的なタイ系の側扁体形をしているが、マダイよりもさらに体高が高く、各ヒレも発達している。

体色は淡灰青で、黒い7本の帯がある。とくに幼魚の頃は縞がはっきりとしており、「シマダイ」と呼ばれることもある。
成魚になるにつれて縞は不鮮明になり、老成した雄は体全体が暗い青褐色で口の周りが黒くなってくる。この様子から、大型のイシダイは「クチグロ」とも呼ばれている。ただし、雌の場合は老成しても灰黒色で縞模様が残っているものが多い。
イシガキダイは、逆に老成してくると口の周りが白くなるため「クチジロ」と呼ばれる。

イシダイの最大の特徴は、硬いサザエやフジツボなどの殻でさえもかみ砕いてしまう固く頑丈な歯。この何層もの小さな歯が石灰質で固められてイシダイ独特のクチバシ状の口になっているのだが、古い歯が脱落したり、硬いものを食べて欠けたりしても、下からどんどん新しい歯が出てくる。

約3年で成熟し、成魚は全長50㎝前後になるが、まれに70㎝7㎏を超える大型も釣り上げられる。


体側の縞模様と高い体高が特徴。成魚になるにつれ、縞は不鮮明になってくる

【生態】

磯釣りの人気ターゲットであることからもわかるように、沿岸部の岩礁帯に好んで棲息する。適水温は18~24℃。
産卵期は春〜夏で、外海に面した岸付近で行われる。イシダイの卵は直径約1mmほどの浮性卵で、水温20度で36時間後に孵化する。仔魚の頃は流れ藻などに着いて表層を泳ぎ、プランクトンや小さな甲殻類を主食とする。体長10cm前後までは岸壁周辺でも群れているのが見られ、堤防釣りで釣れることも多い。この頃から歯がクチバシ状に発達し、浅場での遊泳生活から岩礁地帯での居着き生活へと移る。

体長15cm以上に成熟したイシダイは、岩礁に棲息する甲殻類やウニ、ヤドカリなどを主に捕食する。さらに、サザエやトコブシといった貝類の硬い殻も頑丈な歯でかみ砕いて捕食するとされている。

イシダイは、エサの選り好みをすることで知られている。魚の嗅覚の研究によれば、ほかの多くの魚たちがアミノ酸に対して好反応を示すのに対し、イシダイはアミノ酸であるアラニンやバリン、ロイシン、グリシンといった成分を嫌うとの結果が出ている。一般的に海釣りのエサとして多用されるオキアミやアオイソメには、グリシンなどのアミノ酸が多く含まれているので興味深い研究報告だ。

なお、イシダイは、自然環境下でイシガキダイと交雑することがあり、交雑した個体はイシダイの縞模様とイシガキダイの黒い斑点の両方が現れる。

【文化・歴史】

イシダイという名は、「石の歯を持った魚」ということからついたといわれている。また、イシダイのイシとは、磯の意という説もある。
大型のものを「本イシ」「銀ワサ」また上記の「クチグロ」と呼び、石物釣り師の憧れの的になっている。

イシダイの幼魚のことを「サンバソウ」と呼ぶが、これは能楽の「三番叟」という踊りの衣装の装束の烏帽子が白黒の縞模様であり、イシダイの姿がこれと似ることから名付けられたものだ。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池を釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。これまで釣った魚は350種以上。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者として独立。自著執筆のほか、多くの雑誌・書籍の編集に携わる。TVCFなどのフィッシングアドバイザー、DIYアドバイザーも務める。
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