【分類・分布】
スズキ目ゲンゲ亜目ニシキギンポ科ニシキギンポ属に分類され、北海道南部から四国・九州北部まで棲息している。ゲンゲ亜目はニシキギンポ科のほか、ゲンゲ科、タウエガジ科、オオカミウオ科、ボウズギンポ科など9科95属約340種が分類され、ゲンゲ科やタウエガジ科にもギンポと名のつく魚は数多い。
【形態】
全長は20~25㎝前後。頭が小さく体は細長く、強く側扁している。棲息する場所によって体色に個体差があるが、基本的に茶褐色で全身に不規則なまだら模様がある。口のまわり以外は小さい円鱗で全身が覆われており、頭部、背ビレ、尻ビレにも鱗がある。背ビレはエラブタの上部から尾ビレの付け根まで連なり、尻ビレも体長の5分の2程度と非常に長い。
本種と酷似している魚にダイナンギンポがおり、同じゲンゲ亜目であるがタウエガジ科ダイナンギンポ属に分類される。本種との見分け方としては、ダイナンギンポは腹ビレがない(本種は小さな腹ビレがある)、ダイナンギンポは尾ビレが背ビレ、尻ビレとつながっている(本種は尾ビレとほかのヒレがつながっていない)などが挙げられる。また、本種は尾ビレの後縁が白いことも相違点だ。
小磯や堤防周りの岩の隙間などを棲み家にしているギンポ。根魚釣りのゲストとして釣れることも多い。
【生態】
主に水深の浅い小磯やゴロタ場の岩の隙間、堤防周辺、消波ブロック帯などを棲み家にしている。
肉食性で、主に多毛類やヨコエビ類などの小型底棲生物を捕食する。
本種の産卵期は秋~冬(ダイナンギンポは冬~春)で、白いおにぎりのような卵の塊を岩の下などに産卵する。そして、その卵塊を雄が体を巻き付けて保護する習性がある。春には、海藻などを隠れ家にしている半透明、または周囲と同じ保護色の稚魚が浅場で見られる。この稚魚は、海藻に付着している動物プランクトンやアミ類などを食べながら成長し、次第に親と同じ模様に体色が変化する。
【文化・歴史】
ギンポは、漢字では「銀宝」の字を当てる。語源ははっきりしないが、江戸時代の通貨「丁銀(ちょうぎん)」に細長い体形が似ているからといわれている。
カミソリ(大阪府・三重県)、カミソリウオ(浜名湖地方)、カミソリウナギ(和歌山県)という地方名は、背ビレの棘が非常に鋭利であることから名づけられたとされる。そのほかに、ナギナタ、ナマズ、カッチョなどの地方名がある。
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