【分類・分布】
ヤリイカは、ツツイカ目ヤリイカ科(ジンドウイカ科とも)ヤリイカ属に分類される。
ツツイカ目のイカは、基本的に胴内に軟骨をもつタイプのイカで、同じ科には、アオリイカ、ケンサキイカやジンドウイカなどがいる。
北海道から九州までの日本各地、黄海、東シナ海に分布するが、沖縄には棲息しない。
【形態】
体形は細長い円錐形をしており、とくに雄は胴の先端がケンサキイカと比べると非常に細くなっているのが特徴。また、スルメイカと比べるとエンペラが胴長に対して割合が長く、腕が短く華奢であることなどで区別できる。吸盤のある10本の腕を持ち、そのうち2本は「触腕」と呼ばれる先端に吸盤が集中した長い腕になっている。この触腕を伸縮させてエサを捕らえる。
通常は透明度の高い体色をしているが、興奮状態になると茶褐色が強くなる。最大で外套長40㎝程度まで成長し、雌より雄のほうが大型になる
【生態】
通常は水深30~100mに棲息し、産卵期には沿岸まで寄ってくる。産卵の時期は南方ほど早く、1月頃から始まり、北海道では4~6月頃が盛期とされる。沿岸で生まれた稚イカは、夏にかけて深みへ移動して成長する。孵化後3ヶ月で外套長3㎝まで成長し、半年で成熟。そして再び産卵期になると沿岸部へやってきて、海底の岩礁に産みつける。
寿命は1年間で、産卵行動を終えると雄雌ともに死んでしまう。
エサは動物プランクトン、小魚や甲殻類など。ヤリイカはイカ類のなかでも消化吸収にかかる時間が短く、一日の摂餌回数が多いとされている。
【文化・歴史】
ほっそりとした姿形が槍の穂に似ていることが名前の由来とされる。英名でもSpear(=槍) squidと同様の語源をもつ名称となっている。
ヤリイカの神経細胞は、動物でもっとも大きいため、古くから医学分野で神経系の研究の実験材料として用いられてきた。
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