【分類・分布】
カワハギ科ウマヅラハギ属に分類される魚で、カワハギの仲間。
北海道南部以南の日本近海から東シナ海、南シナ海にかけて分布する。昔は、関東ではそれほど水揚げ量のある魚ではなかったが、1970年代から定置網などで大量に獲れるようになった。1990年代前半以降は、再び漁獲量が減少している。
【形態】
体型は著しく側扁しており、カワハギに比べると細長く、楕円状となっている。ウロコは絨毛状で、表面はザラザラとしている。体色は薄青灰色~薄茶色で、雲のような白い模様がある個体も多い。ヒレは青緑色。吻(ふん)は突出しており、先端に小さな口がある。後頭部に一本の大きな棘があるが、これは第一背ビレであり、尾に近いものは第二背ビレとなる。雌のほうが雄よりも体高があり、吻の後部の背側が雄は盛り上がっていて、雌は直線的になっている。
姿形のよく似たキビレカワハギと見分けるポイントはいくつかあるが、まずは後頭部の棘。ウマヅラハギは目の後端あたりに棘の前端があるが、キビレカワハギは目の真上くらいにある。また、その名のとおりキビレカワハギは各ヒレが黄色みがかっている。
ウマヅラハギは、カワハギに比べて細長く、顔が長い
【生態】
水深50~150mほどの深場の海底〜中層の間で群れている。カワハギよりやや沖合いに棲息する。
食性は雑食で、小さな口に並んだ丈夫な歯で、夏は甲殻類や貝類、底棲生物など、冬は海藻を主に食べる。
幼魚はクラゲ類を好んで食べるため、近年大発生で問題となっているエチゼンクラゲの駆除に利用できないか、と研究が進められている。
産卵期は、4~7月頃。複数回の産卵をし、沈性粘着卵を一度に7万粒ほど産む。孵化後、稚魚は流れ藻について生活し、成長するにつれて深場へ移る。体長は1年で全長15~18㎝、2年で約20~22㎝、3年で25㎝ほどに成長し、最大では30㎝ほどにまで成長する。
【文化・歴史】
「ハギ」という名は、カワハギと同様、調理の際に皮を剥ぐ必要があること、また一気にたやすく皮が剥げることが由来となっている。そして、カワハギと比べると細長い顔をしており、それが馬の顔を連想させることから馬面=ウマヅラのハギということで、この名が付いた。同様の理由で、ウマ、オウマサン、ウマハゲなどと呼ぶ地方もある。また、ナガハゲ、ナガコベなどという顔の長さにちなんだ呼び名もある。
そのほかの呼び名としては、ツノギは、後頭部の角のような棘が由来。バクチ、バグチは、カワハギとの混称になるが、身ぐるみ剥がれて裸になることから付いた名となっている。
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