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テッポウウオ【鉄砲魚】生態編

テッポウウオ【鉄砲魚】

【分類・分布】

スズキ目テッポウウオ科は、テッポウウオ属の1属のみで構成される小さなグループ。本種のほか、観賞魚界では一般にセブンスポット・アーチャーフィッシュと呼ばれる Largescale archerfish(学名:Toxotes chatareus)など、全部で7種の魚が含まれる。
かつて、テッポウウオ科の魚は日本には分布しないとされていたが、1980年に沖縄県の西表島で発見された。現在も、国内での棲息が確認されているのは西表島のみである。テッポウウオは、テッポウウオ科のなかではもっとも分布域が広く、西はインド東部、南はソロモン諸島までおよび、西表島はその北限に当たる。
国内での分布域が非常に狭い状況から、環境省のレッドリストではDD(情報不足)のカテゴリーに掲載されている。

【形態】

西表島に棲息するテッポウウオは、全長30㎝ほど。体色は銀白色~緑褐色で、背側のほうが色が濃い。目を通る黒い斑点のほか、背中側に5つの黒い横縞のような斑点がある。個体によっては、背の色が濃く、斑点とつながっているもの、体高の半分を越えて斑点が延びているものもいる。背ビレにも黒い斑点があり、尻ビレの縁も黒い。
体形は側扁しており、口は下アゴが上アゴより前に出て上を向いて尖っている。背ビレは体の後方にあり、尻ビレと背ビレの基点は、ほぼ同じ位置にある。


【生態】

小さな群れで、水温の高い濁りの強い汽水域に棲息する。淡水域にもいるといわれるが、通常はマングローブ帯の水路や河口部に多い。
口から水を発射し、水辺の草木や岩にいる昆虫などを撃ち落として食べる習性はよく知られている。口腔の上壁に溝があり、そこに舌を当てると喉から口先にかけて水路ができるので、エラブタを強く閉じると口から水が噴射する仕組みになっている。屈折によって水面を境に水上の獲物の位置は、実際とはずれて見えるにもかかわらず、テッポウウオは屈折を計算して噴射するという。1m以上水を飛ばすことが可能であるが、噴射の距離や命中率には個体差がある。
また、実際には撃ち落とさなくても、水に落下した昆虫や水面にいる小生物(アメンボなど)、水中のエビ、小魚などの小動物を捕食する。また、水上にジャンプして獲物を捕らえることもある。産卵期は4~5月頃といわれる。


【文化・歴史】

テッポウウオという標準和名、および漢字で「鉄砲魚」と書くのは、いずれも口から水を噴射して獲物を撃ち落とす独特の習性に由来する。
英名のArcherfishも射手魚という意味で、学名内のToxotesも射手を意味し、同様の由来である。Bandedは「縞模様の」という意味であり、体側のはっきりとした黒斑点の模様からつけられたものである。
本種、および海外産のテッポウウオの仲間は観賞魚として楽しむ人もおり、輸入されて観賞魚店などで販売されている。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池・・・と、ホソのマブナから南海のジャイアント・トレバリーまでを釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
出版社で雑誌編集に携わった後、独立。それを機に家族とともに房総の漁師町へ移住する。釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者。詳しくはこちらへ。

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