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スマ【須萬】生態編

スマ【須萬】

【分類・分布】

スズキ目サバ科スマ属の海水魚。サバ科の魚は15属51種に分類され、そのほとんどが暖海を回遊する中~大型の肉食魚である。スマ属には、大西洋の熱帯・温帯域に分布するEuthynnus alletteratus、東太平洋の熱帯・温帯域に分布するEuthynnus lineatus、およびスマの3種が分類されており、日本近海に棲息するのはスマのみである。
スマは国内では本州中部以南に分布し、世界的にはハワイ、オーストラリア北部、アフリカの東岸までと、インド太平洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布している

【形態】

成魚は、全長1m体重10㎏を超える大型肉食魚。カツオなどと同じ紡錘形の体型だが、カツオヒラソウダなどと比べるとやや体高が高い。
体色は背側は濃青色で、腹側は銀白色。背側の後半には、斜めに黒い帯が多数並んだ模様がある。そして、生きているときには、胸ビレの下に1~7個の黒点があるのが大きな特徴だ。ただし、この黒点は死ぬと消えてしまう。また、カツオのように腹側に縦線はなく、それも見分ける際のポイントとなる。ウロコは、眼の後部、胸ビレ周辺、側線周辺にしかない。眼は大きく、口と接近している。


【生態】

ほかのサバ科の魚と同様に、優れた遊泳能力をもち、海の表層部を回遊して暮らす。ただし、カツオのような大群は作らず、数匹程度の小さな群れか単独で行動する。沿岸性が強く、若魚は内湾に入ってくることもある。
肉食性で、小魚、甲殻類、頭足類などを捕食。口とエラブタを開けたまま泳ぎ、エラを通り抜ける海水により呼吸をするため、泳ぎが長い時間止まると酸素が欠乏して、死んでしまう。
主に産卵期は5~8月頃で、産卵は表層を泳ぎながら行われる。

【文化・歴史】

西日本では「ヤイト」と呼ばれるが、これはお灸のことをヤイトと呼び、スマの体側の黒点がお灸の黒い跡に似ていることから付いた呼び名である。
ヤイトマス(和歌山)、ヤイトバラ(近畿地方)も語源は同様。ホシガツオ(高知)、キュウテン(八丈島)、モンズマ・モンスマ(高知)、ホクロ、ホシタロウなども、黒点を由来とする名前である。
異色なのは、千葉などでの「ワタナベ」という呼び名。これは、一般に渡辺家の家紋は、黒い点3つが一(漢数字の1)の上に乗った紋様であることから、スマの黒い点がこの家紋を連想されるとして名付けられたと思われる。
そのほかの地方名はスマガツオ、セガツオ、エイトンボ、ヤハラ、オボソなど。なお、紀州や四国では、ヒラソウダのことをスマと呼ぶ地域もあるので、混同には注意したい。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池・・・と、ホソのマブナから南海のジャイアント・トレバリーまでを釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
出版社で雑誌編集に携わった後、独立。それを機に家族とともに房総の漁師町へ移住する。釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者。詳しくはこちらへ。

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