【分類・分布】
スズキ目サバ科サバ属の海水魚。サバ科にはほかにイソマグロ属(イソマグロなど)、サワラ属(サワラなど)、ソウダガツオ属(ヒラソウダ・マルソウダ)、スマ属(スマなど)、カツオ属(カツオ)、マグロ属(クロマグロ、キハダなど)が分類される。
サバ属には、日本近海にはマサバやゴマサバが分布し、そのほかに塩サバとして輸入されるタイセイヨウサバなどがいる。
マサバは北海道南部以南の各地で見られ、フィリピンやハワイなど世界の暖海域にも分布。仲間であるゴマサバは、やや高温域を好み、朝鮮半島、中国の沿岸からオーストラリアにかけての西太平洋、ハワイ、東太平洋の一部の暖流に分布する。
【形態】
全長は最大50㎝前後で、釣りの対象となるのは30㎝前後のものが多い。
紡錘形の体形で、断面は楕円形となっている。体色は、背面部は青緑色に不規則な青黒色の波状紋があり、腹部は銀白色。ウロコは非常に細かい。
よく似たゴマサバは、断面が円形に近く、腹側に小さい黒点(ゴマ斑)が散らばっていることなどでマサバと区別できる。マサバをヒラサバ(平サバ)と呼ぶのに対し、断面が丸いゴマサバをマルサバ(丸サバ)と呼ぶ地域もある。
マサバは、背側の斑点が不規則な模様。ゴマサバは黒いゴマ粒状の斑点だ。
【生態】
沿岸部を大群で回遊し、春に北上、秋に南下という季節的回遊を行う。まれに、沿岸の岩礁域周辺に留まる群れもある。食性は肉食で、動物プランクトン、イワシやアジなどの小魚、甲殻類、イカ類などを捕食する。
産卵期は地域によって異なるが、通常は2~8月頃。産卵数は全長25㎝の親で10万~40万粒。寿命は6~7年とされる。
【文化・歴史】
数をごまかすことを意味する「サバを読む」という言葉の語源は、江戸時代に上方の刺鯖が2枚重ねたものを1枚として数えたことから生まれたとの説、また、サバは大量に獲れて鮮度が落ちやすいことから、魚屋が匹数を数えず売りさばいたことからきた、という説もある。
「秋サバは嫁に食わすな」という諺もふたつの解釈があり、秋のサバを嫁ごときに食べさせるなという姑の嫁いびりを表現したという解釈。もうひとつは、秋サバはとてもおいしいが、傷みやすいために嫁が体を壊してはいけないので食べさせるな、といういたわりからきたという説だ。
いずれにしてもサバは非常においしく、庶民の味として古くから親しまれていたことがうかがえる。また、現在もDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などの栄養を豊富に含む健康的な食材として、サバは日本の食卓を賑わしている。
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