【分類・分布】
日本では九州南部から屋久島、トカラ列島、奄美諸島、琉球列島にかけて分布。また、西部太平洋、インド洋の熱帯域にも分布している。
コウイカ目コウイカ科コウイカ属に分類される。コウイカ科のイカ類は、その名の通り外套膜の内側に硬い甲羅状の骨をもつことが特徴で、世界中に約120種類、日本でも20種類ほど棲息する(→カミナリイカ、シリヤケイカ、スミイカ)
【形態】
外套長50㎝以上、体重は12㎏にも達するコウイカ類の最大種。
胴は地色が紫褐色で、エンペラはほぼ同じ幅で胴の両側全体に位置する。胴は長い楕円形、甲羅の形状は比較的平坦で、先端部の棘は鋭い。エンペラから胴の側面にかけて白い不規則な筋模様があり、胴の中央部や目の間などに白い斑紋が散っている。触腕の先端は大きく半月形をしており、約80個の吸盤が5列に並んでいて、中央の数個はとくに大きい。
白い筋模様は、雄のほうが明瞭で、雌は模様がないか不鮮明である。また、雄はエンペラの端が白く縁取られているが、雌にはこの縁取りがない
沖縄の岸壁で、エギで釣り上げられたコブシメ
【生態】
通常はサンゴ礁帯で生活し、小魚、エビ、カニなどを好んで捕食する。
産卵期は晩秋~冬。受精後、雌は特定のイシサンゴ類の枝間に、直径2~3㎝の乳白色の卵嚢(らんのう)を産み付ける。一度に100~200個産卵し、約2ヶ月の間に数度にわたって計1,000~1,500個の卵を産む。雌が産卵している間、ペアの雄はホバリングしながら近くで見守っている。
産卵後1~2ヶ月で孵化。生まれたばかりでも胴長約1㎝で親と同じ姿をしており、イカ類最大の稚イカである。深場へ移動して成長するが、寿命は1年か2年で、産卵すると死んでしまう
【文化・歴史】
沖縄地方ではクブシミと呼ばれ、コブシメという標準和名も、この沖縄での呼び名がもとになっている。
学名の「Sepia」は、スミイカ同様、イカ墨から採取した黒い顔料やイカ墨そのものをセピアと呼んだことから付いたもの。「latimanus」は「広い手のひら」という意味を表す。これは、コブシメは触腕の先端部が大きいために付けられた名である。
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