【分類・分布】
ハタ科マハタ属に分類される海水魚。ハタ科は約450種の魚が含まれる大きなグループで、同じマハタ属にはマハタ、クエ、アカハタ、キジハタなど、釣りの対象魚や食用になる魚も多く分類されている。日本近海のハタ類は南へ行くほど種類が多く、本種もそのなかの一種である。
国内では八丈島や小笠原諸島、三重県や和歌山県以南の南日本、とくに奄美諸島や沖縄諸島に多く棲息する。海外ではインド洋、西太平洋に分布している。
【形態】
丸みをおびた体型で、目は頭の上側にあり、口が大きくて口の縁が厚く、下アゴが上アゴより前に突き出ている。全長は最大30㎝程度とハタ類としては、小型の部類。
全身に茶褐色の小斑が密に分布し、斑と斑の間は淡褐色となっている。また、背ビレの後端、尻ビレの縁などは斑と同じような茶褐色で縁取られている。尾ビレには切り込みがなく、丸みを帯びた形状をしている。
同じマハタ属の魚でイシガキハタやオオモンハタなど、全身に茶褐色の斑のあるよく似た魚はほかにもいる。例としてイシガキハタとの相違点は、イシガキハタは胸ビレの斑点が赤いこと、背縁に黒色斑が5個程度並ぶこと、濃色の斑のほかに白い小さな斑が飛んでいることで見分けられる。カンモンハタの模様の特徴としては、斑点が大きく間隔が密であること、ほぼ全身の斑が同じ色であることなどである。
また、本州で見られるカサゴやムラソイなどとも体形が似ているが、前者はカサゴ目フサカサゴ科カサゴ属、後者はカサゴ目フサカサゴ科メバル属の魚である。
カンモンハタの模様の特徴は、斑点が大きくて間隔が密で、全身ほとんど同じ色の斑であることなどだ。
【生態】
サンゴ礁域のごく浅場に単独で棲息し、普段はサンゴや岩の陰に潜んでいることが多い。小魚や甲殻類、ゴカイ類などを好む肉食性で、射程距離に入ってきたエサを発見すると瞬時に襲いかかって捕食する。
産卵期は5~6月頃。月の周期と同調して成熟し、満月の大潮前後に普段の棲息場所であるサンゴ礁を離れ、外洋へ出て産卵することが知られている。
【文化・歴史】
英名のHoneycomb grouperとは、「蜂の巣状の模様のハタ」という意味で、その模様からきている名前である。
イシミーバイは沖縄地方、イシネバリやガブネバリは奄美地方の呼び名で、いずれも「ミーバイ」「ネバリ」はハタ類全般を指す。「イシ」は、体の斑紋を小石に見立てて付いた名と思われる。
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