さすらいの五目釣り師が送る千葉内房発・釣りのサイト

ヒラマサ【平政】生態編

ヒラマサ【平政】
【分類・分布】

ブリカンパチと並ぶ、スズキ目アジ科ブリ属の一種。全世界の亜熱帯~温帯海域に分布し、赤道域にはほとんど見られない。日本ではブリと間違われることもあるが、ブリは北西太平洋にしか分布せず、その他の地域ではヒラマサのみとなるので、割とそうした混乱は起こりにくい。
日本近海では北海道南部以南に棲息する。水温18~24℃の海域に多く、ブリよりも温かい水温を好む。

【形態】

ブリよりも比較的体形が細長く、速いスピードで泳ぐヒラマサ。カンパチ同様、2mほどにまで成長するアジ科最大級の魚だ。成長スピードは、ブリよりも早い。釣りでの世界記録は49.5㎏(109ポンド2オンス)で、これは2009年10月に千葉県・大原沖で釣られたものである。
体形は細長く、側扁する。ブリと同様に背が青緑色で、腹は銀白色、体側に太い黄色の縦縞がある。ブリとの違いは、上アゴの上後端が丸みを帯びていることと、胸ビレが腹ビレより短いことなどが挙げられる。ただし、ブリのなかでも弱い個体は、ヒラマサと同じような体色になる傾向があるので間違われやすい。
ヒラマサ【平政】
ブリとの一番見分けやすいポイントが、上アゴ上後端が丸みを帯びているところ。

【生態】

沿岸や沖合の岩礁帯の中層に棲息するが、ブリに比べるとより浅く、根などがある場所に着くとされている。単独、もしくは小さな群れで行動し、泳ぐスピードは時速50㎞以上に達する。「海のスプリンター」と呼ばれるゆえんだ。
典型的な肉食魚であり、カタクチイワシアジサバなどの小魚類、甲殻類、それにスルメイカなどの頭足類を捕食する。朝夕のまづめどきが、捕食がもっとも活発になる時間帯だ。
日本の近海では4~8月に産卵する。全長85㎝の個体でおおよそ200万粒の球形の分離浮遊卵を産み、卵は水温19℃で90時間ほどで孵化する。全長数㎝の稚魚は体側に6~10本の横縞があり、ブリの稚魚と似通っているが、流れ藻に着かずに沖合で生活する。ただし、20~50㎝の若魚は、流木などに着いていることがある。成長はブリより早く、1年で体長40㎝、2年で60㎝、3年で80㎝、4年で90㎝ほどになる。寿命は12年の記録がある。

【文化・歴史】

「ヒラス(大阪、高知、九州)」「ヒラソ(山陰)」「ヒラソウジ(九州)」「テンコツ(鹿児島)」など、いくつかの地方名がある。三重県尾鷲市では「ヒラ」と呼ばれるとともに「マサギ」とも呼ばれるが、これは「柾目の魚」を意味し、樹木の柾目のように真っ直ぐな縦縞からきているといわれる。
ヒラマサは一本釣りや定置網で漁獲されるが、九州北部では竹を束ねて作った「漬け」に集まる魚を獲る「しいら漬け漁業」でも漁獲される。シイラよりも単価が高いため、より効率的にヒラマサを集める方法が検討されている。
また、同じく九州の北部では養殖も盛んだ。1970年には近畿大学水産研究所が「ブリヒラ」と呼ばれる、ブリとヒラマサの交雑魚を開発。ブリ同様の脂に加え、コラーゲンも多量に含む身に評価が高い。養殖ヒラマサ、ブリヒラともに、食用として市場に出まわるとともに、海上釣り堀でも両者を釣らせるところがある。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池・・・と、ホソのマブナから南海のジャイアント・トレバリーまでを釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
出版社で雑誌編集に携わった後、独立。それを機に家族とともに房総の漁師町へ移住する。釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者。詳しくはこちらへ。

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