【分類・分布】
スズキ目ホタルジャコ科アカムツ属に分類されるが、スズキ科とする分類もある。
日本海側では新潟、太平洋側では福島以南に棲息し、東南アジア、オーストラリアまで、太平洋西部に分布する。
伊豆諸島の八丈島周辺に多く棲息するハチジョウアカムツも、俗に「アカムツ」と呼ばれるが、こちらはスズキ目フエダイ科ハマダイ属に分類され、分類上もまったく別の魚である。赤い体色は似ているが、目の大きさ、顔の形状などは違っており、ハチジョウアカムツは1m近くまで成長する。
また「シロムツ」と呼ばれるオオメハタやワキヤハタは同じホタルジャコ科だが、「クロムツ」と呼ばれるムツやクロムツは、ムツ科に分類される。
【形態】
体型は楕円形で側偏しており、背側は赤紅色、腹側は赤みを帯びた銀白色。眼球は大きく、白目の部分は金赤色をしている。
ウロコは後部に小さな棘(きょく)を持つ櫛鱗(しつりん)で、手触りはザラザラとしている。背ビレの先端には細く鋭い棘がある。
最大で50㎝2㎏程度まで成長するが、釣りで目にするのは、全長が40㎝ほどまでのものが多い。
グルメ嗜好の高まりから最近では高級魚。1kg超のものは幻といってもさしつかえない
【生態】
通常、アカムツは水深100~300mの深場に、小さな群れで棲息している。魚食性が強く、主なエサは小魚だが、甲殻類、イカ類、アミ類なども捕食している。
産卵期は6~10月頃とされる。幼魚は浅場でも見られ、体長20㎝くらいまでのものは沿岸部の定置網で捕獲されることもあるが、成長に従って深場へ移動する。
1年で体長10㎝、3年で20㎝、5年で30㎝程度に成長する。
【文化・歴史】
佐渡、北陸、山陰地方など日本海側では、「ノドグロ」という呼称のほうがポピュラーで、島根県の浜田市では市の魚にも指定されている。このノドグロという名は、口の奥のほうが黒いことからきている。
ノドグロ・ノドクロ以外の地方名としては、アカウオ、キンギョなど赤い体色から付いた名前、キンメ、メッキン、メブトなど、金赤色の大きな目からきた名前も多い。
英語名のBlackthroatも、「黒い喉」という意味で、ノドグロと同じ語源である。
ムツという名については、脂っこいことを「むつっこい」「むつごい」などということから、脂ののった魚という意味合いで付いたとされる。
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