【分類・分布】
ハタ科マハタ属に分類される海水魚で、同じ属にはマハタ、クエ、キジハタなどが含まれる。
日本での分布域は、太平洋側では関東以南、日本海側は富山湾以南。世界的に見ると、インド洋、太平洋の温帯から熱帯域。インド洋では紅海、アラビア海、ベンガル湾を含む広範囲に分布し、太平洋では東シナ海から南シナ海、ミクロネシアなどの西太平洋、ハワイ諸島などの中部太平洋にも分布している。
【形態】
成魚の全長は30~40㎝、重さ2㎏程度と、ハタ類のなかでは比較的小型の部類。体は側扁し、ほかのハタ類同様に楕円形の丸みをおびた体形となっている。口は大きくて縁が厚く、下アゴが上アゴより前に突き出ている。
体色は赤褐色で、体側には濃赤褐色の5~6本の横縞。さらに白い不規則な斑点が飛んでいる。体色は、岩礁の色が明るい海底に棲む個体は体色が薄いものが多いなど、棲息環境によって個体差がある。背ビレの前半部(棘条(きょくじょう)部)の縁は褐色で、尾ビレの後縁はウチワ状に丸くなっている。
近縁種のアカハタモドキによく似ているが、アカハタモドキのほうが横縞が不明瞭なことや、背ビレの棘条部の縁が赤いこと、背ビレの軟条部と尾ビレの背側が黒いことなどで区別できる。市場では混同されてアカハタとして売られている事もある。
【生態】
岩礁域やサンゴ礁域などの沿岸から深場に単独で生活。肉食性で、主に小魚や底棲生物を捕食する。
産卵期は3~9月とされ、直径0.8㎜程度の分離浮性卵を産む。
孵化した仔魚は、当初は浮遊生活を送るが、体長が2ヶ月ほどで3㎝程度まで成長すると底棲生活へ移る。1年で体長15~17㎝、2年で20~23㎝程度に成長する。
なお、マハタの仲間は、成熟するまではすべてが雌で、成長して大きくなると雄に変わる雌性先熟の魚。アカハタも同様の性質をもち、生後2~3年して成熟した後、雌から雄に変わる。
【文化・歴史】
ハタは斑(はだら)の「ら」が脱落したもので、斑紋のある魚という意味からきているといわれ、アカハタは鮮やかな赤い体色から名付けられたもの。
地方名は、アカギ・アカゲ(伊豆諸島北部)、アカバ(伊豆諸島南部・小笠原地方・高知)、アカッペ・アカンボ(和歌山・大阪)、アカゴロウ(和歌山)、アカイオ・アカアコ・アカウオ(長崎県)、アカメバル(鹿児島)、ハタントメバル(奄美地方)、ハンゴーミーバイ・アカミーバイ(沖縄)などで、やはり体色に由来するものが多い。
英名のBlack-tipped とは、黒い先端という意味で、背ビレの棘部の縁が黒い(褐色)ところに由来する。
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