【分類・分布】
サケ科サケ属の淡水魚で、もともとは日本には棲息せず、大平洋東岸とカムチャッカ半島を原産地とし、明治時代に日本に移入された。
現在では全国各地で養殖されるとともに、河川や湖への放流が行われており、北海道から九州まで分布している。
【形態】
いわゆるトラウト型の体型で、体色は背側は黄色がかった青緑色で腹側は銀白色。腹以外の前身に黒点が散在している。
体長15cm前後に成長するまでは、体側にパーマークと呼ばれる楕円の斑点があり、それが消えた頃になると体側の中央には赤紫色の帯が現れる。婚姻期のオスはとくに鮮やかな虹色になり、それが名前の由来ともなっている。
棲息環境によって成長速度は異なり、平均体長は30〜40cmだが、棲息場所によっては80cm以上になる場合もある。成熟するまでの年数は、これも環境によるがオスは1〜5年、メスは2〜6年ほど。
成魚の体側には、薄い赤紫色の帯が走り、全身に細かい黒い斑点があるのがニジマスの特徴
【生態】
河川の場合、夏でも水温12℃以下の冷水で、流速が早く、酸素を多く含む環境を好む。湖の場合、地形が複雑なポイントを好んで棲息する。
基本的には冷水性の魚だが、比較的温度変化にも適応する。活動可能水温は5〜24℃。
食性は肉食性で、水棲・陸棲昆虫、小魚、甲殻類などを食べる。
産卵期は冬〜春で、浅瀬の砂礫底にメスが産卵床を作って産卵する。サケやカラフトマスなどは産卵すると死んでしまうが、ニジマスは一度の産卵では死なず、数年の間繁殖行動を行う。
降海型のニジマスは、原産地ではスチールヘッドと呼ばれており(名の由来は、頭の色が鋼鉄色になるため)、サケのように海を回遊した後、河川へ再び遡上する。
【文化・歴史】
ニジマスが日本に移入されたのは、明治10年(1877年)で、アメリカ・カリフォルニア州産のニジマスの卵1万粒を孵化・飼育したのが最初とされ、その後も各地で養殖や放流が行われている。北海道や東北では、自然繁殖している河川や湖も多い。ただし、北海道では、在来種のオショロコマがニジマスの影響で減少している河川も見られるなど、各地で在来種への影響が懸念されている。
在来魚の生態系に影響を与えるとして、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(いわゆる外来生物法)」に基づき、環境省により「要注意外来生物」指定されていたが、そのリストは2015年3月に廃止された。新たに「生態系被害防止外来種」が選定され、旧リスト同様にニジマスは選定されている。
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