【分類・分布】
テラピア(ティラピアとも表記する)は、もともとはアフリカや中近東に分布するスズキ目カワスズメ科カワスズメ属の淡水魚。食用にするために移入された魚だ。日本国内にも、ナイルテラピア、カワスズメ(モザンビークテラピア)、ジルテラピアの3種が移入され、主にナイルテラピアとカワスズメが繁殖している。
以下では、ナイルテラピアについての生態を主に解説している。
【形態】
体形は側扁しており、口は小さく体高がある。体色は生息環境にもよるが、黄色みを帯びた暗灰色。体側には不明瞭な8〜10本の横帯、尾ビレには細い横縞がある。20cmほどで成熟し、最大80cm3kg以上まで成長する。
背ビレが大きく特徴のある形状。生息環境により体色が薄いもの、縞が明瞭なものもいる
【生態】
熱帯・亜熱帯性の淡水魚で、水温の高い河川や湖沼に棲息が可能。水質汚濁には比較的強く、塩分への耐性もある。棲息適温は24〜30℃だが、慣らせば10℃以下でも、また45℃でも生存できるという。
雑食性で、稚魚は動物プランクトンや昆虫、成魚は小型甲殻類なども捕食する。
産卵した卵はメスが口腔内に入れ、呼吸に合わせて水流で卵が回転するようにして育てる(卵は静止すると死んでしまうため)。孵化後も2週間ほどメスは口腔内で仔魚を保護する。
【文化・歴史】
ナイルテラピアは1960年代に移入され、味や食感が似ていることからマダイの代用として養殖され、イズミダイ、チカダイといった名で流通した。現在でも温泉地などでは温泉を利用してテラピアの養殖をし、名物として旅館などで料理して提供しているところもある。(北海道・川湯温泉(摩周鯛) 岡山県・湯原温泉郷(黒姫鯛))
在来種の生態系を脅かす可能性があるとして、現在、外来生物法により「要注意外来生物」に指定されている。
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