【分類・分布】
サケ目サケ科イワナ属の淡水魚。日本では北海道のみで繁殖している。世界的には、朝鮮半島の北部から沿海州、オホーツク海、ベーリング海からアラスカ、カナダ、アメリカ北西部などに分布。同じイワナ属には、イワナのほか、アメマス、ブルックトラウト、レイクトラウトなどがいる。
北海道の然別湖とその流入河川にのみ棲息するミヤベイワナは、オショロコマの亜種。1万5000年ほど前の大雪山系の噴火によって然別湖が誕生した際、陸封されて独自の進化を遂げたものとされる。オショロコマより尾ビレと胸ビレが大きいことなどで区別できる。
【形態】
オショロコマはイワナの仲間で、形態もイワナとよく似ている。やや側扁した紡錘形で、体側に赤からオレンジ色の斑点があることで、イワナと区別できる。背ビレと尾ビレの間には、サケ科特有の脂ビレがある。
産卵期の雄には婚姻色が現れて、身体全体が黒っぽくなり、腹部や腹側のヒレの赤味が強くなる。
日本では北海道にのみ棲息し、現在では絶滅危惧Ⅱ類にも指定されている。乱獲は慎もう
【生態】
本来は遡河回遊魚だが、陸封型と降海型のものがいる。日本に棲息するものはほとんどが陸封型だが、道東の一部の河川では降海型が見られる。通常は河川の最上部に棲息することが多いが、知床周辺などの距離の短い川では、源流から河口まで棲息している。
エサは底生生物のほか、水棲昆虫、落下してくる陸棲昆虫など。
産卵期は10〜11月で、砂礫底に産卵床を作って産卵を行う。稚魚は次の秋までに7cmほどまで成長、3年目で成熟する。寿命は5〜6年。降海型のものは秋に産卵され孵化した稚魚が、翌春〜夏に銀毛化して海へ下る。沿岸部で主に小魚をエサとして成長し、秋になると再び川を遡る。
陸封型は、ダム湖などで大型化したものを除くと30cmを超えることはほとんどないが、日本以外の降海型では1m以上に成長した例もある。
【文化・歴史】
オショロコマという名は、アイヌ語で「オソル・コ・オマ」(特殊な岩魚、尾で産卵床を掘る魚の意味)からきている。
2007年版の環境省レッドリストでそれまでの準絶滅危惧種から絶滅危惧Ⅱ類にカテゴリーがあげられた。生育環境の破壊やニジマスやブラウントラウトなどの外来魚との強豪が原因とされる。
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