【分類・分布】
ダツ目メダカ科メダカ属の淡水魚。日本メダカとも呼ばれる。メダカ属には他には、ジャワメダカ、インドメダカ、カンコクメダカなど、東アジアから東南アジアにかけて分布する近縁種が分類されている。日本では本州から沖縄まで分布(移入によって北海道の一部にも棲息)。日本産は1種であると考えられていたが、青森県から兵庫県の日本海側に棲息する北日本集団は別種とされ、それをキタノメダカ、従来のメダカをミナミメダカと呼称することが提案されている。また、ミナミメダカの中でも棲息水域ごとに遺伝子分化がみられることがわかっている。
【形態】
最大で全長4cmほどで、体は細長く、吻は細く、腹部はやや膨らんでいる。オスは背ビレ後部に切り込みがあり、尻ビレが大きいが、メスには背ビレの切り込みはなく、尻ビレは小さめ。
体色は、観賞用のメダカ(ヒメダカ)が橙色をしているので、そのイメージが強いが、野性のメダカは茶色がかった灰色。
観賞魚のイメージが強いが、江戸時代にはタナゴと並んで粋な釣り対象魚として親しまれていた
【生態】
小川、池、水田やその水路など、流れの緩やかな場所に棲息する。
昼行性で、明るくなると活動を初めて浅場でミジンコ、ボウフラ、付着藻類などを捕食するが、暗くなる頃には水草の陰などへ戻って夜を過ごす。
産卵期は春〜秋で、1匹のメスが複数回産卵する。受精卵は付着糸によってしばらくメスの生殖孔に付着しているが、泳ぎ回るうちに水草などについてメスの体から離れる。孵化後は成長して翌春に成熟して産卵する。自然下の寿命は一年ほどといわれるが、飼育下では5年くらい生きることも多い。
【文化・歴史】
名前はその姿の通り、目が大きく飛び出していることが由来。英語では「Japanese rice fish」というが、メダカの産卵期と水田に水を張る時期が同じ頃であることから、長い間日本人の稲作文化と共存し、身近に親しまれてきたことによるもの。ボウフラを食べる益魚としても好かれ、観賞魚としても古くから愛されてきた。
そのため地方名が非常に多く、4000を超える地方名があるとされている。
その一方で、自然のメダカは減少しており、棲息場所の汚染や減少、ボウフラの駆除や水質浄化のために移入されたカダヤシ(現在では、特定外来生物に指定)が分布域を広げていることなどが影響しているとみられる。環境省のレッドリストでも絶滅危惧Ⅱ類(VU)に分類されている。
それに伴い、各地で保護活動が行われるようになったが、前述のようにメダカは棲息水域ごとに遺伝的な違いが見られるため、それらを無視した放流例などが見られるため、遺伝的多様性を配慮した保護活動をしていく必要がある、と警告されている。
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