【分類・分布】
コイ目コイ科コイ属に分類されるコイ科を代表する魚であり、日本の代表的な淡水魚の一つ。
コイ科は、ほとんどが淡水魚の大きな科で、約3000種が属している。同じコイ亜科に属する魚としては、ほかにマブナ(キンブナ、ギンブナ)、ヘラブナ(ゲンゴロウブナ)、金魚類などがいる。
また、一般に自然繁殖している野ゴイと養殖されているヤマトゴイを総称してマゴイと呼んでいるが、ヤマトゴイも人為的に放流されて各地で野生化している。
コイの原産地は中央アジアで、約2000万年前から棲息が確認されており、当時は陸続きだった日本へ広がったとされる。現在では全国各地の河川や湖沼に棲息する。
【形態】
典型的な野ゴイは比較的体高が低く、体幅が広い円筒形に近い体形をしている。逆にヤマトゴイは野ゴイに比べ、体高が高く体福が狭い。体色は棲息環境によって大きく異なり、黄金色に近いものから、銀白色に近いものまでさまざま。繁殖期にはオスメスともに身体全体に追い星が見られる。
幼魚はマブナとよく似ているが、コイは上アゴに2対4本のヒゲがあることが判別しやすいポイントだ。
コイの特徴であるヒゲ。ヒゲには味蕾があり、エサの味や匂いを察知できる
【生態】
河川の下〜中流域、湖沼、池など、流れが緩やかな場所の水底付近を好んで棲息する。野性のコイは、あまり流れのない深みにいて、産卵期以外は浅瀬にあがってくることは少ない。食性は雑食で、水棲昆虫、エビ類、貝、小魚、水草などを吸い込むようにして捕食する。歯はないが喉に咽頭歯という器官があり、ここでエサを割って飲み込む。
産卵期は春から夏で、川岸の水草などに卵を産み付ける。
3年で約60cmまで成長し、1m以上になる場合もある。寿命は30〜40年。なかには70年生きる個体もいる。また、汚れた水にも対応する環境適応能力も高い。
【文化・歴史】
食用に適していて飼いやすいため、昔から日本各地でコイは養殖されてきた。中国では紀元前からコイの養殖がされていたという。
よく「鯉の滝登り」といわれるが、実際のコイはジャンプは下手で、滝を登ることもふつうはなく、中国の説話によるイメージだ。
また、室町時代頃から、コイはハレの日の魚として武家を中心に珍重するようになっていたため、中国の説話や長寿で生命力の強いところから、端午の節句に男子の成長を願う象徴として鯉のぼりが立てられるようになったものと思われる。
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