【分類・分布】
コイ目コイ科カワムツ属の川魚で、オイカワやウグイなどと並んで身近な存在。同じカワムツ属には、ヌマムツなどが分類されている。
日本では能登半島と天竜川水系以西の本州、四国、九州に分布。しかしアユなどの放流に紛れて、自然分布域ではない東日本にも分布を広げている。また、日本以外では朝鮮半島、中国、台湾にも分布している。
【形態】
通常、全長は10〜15cmほどで、オスがメスよりも大きく、大型のオスは20cmになるものもいる。
フナに比べ細長い体形で、背中は黄褐色、体側に太い紺色の縦帯がある。胸ビレと腹ビレの前縁は黄色で、尻ビレは大きく三角形に近い。若魚やメスは体側から腹にかけては銀白色だが、成魚のオスは腹が赤く、顔に追い星がある。
ヌマムツとよく似ており、2000年頃まではヌマムツと同種で扱われていた(詳細後述)。
オスの成魚は、腹が赤く色が鮮やか。ルアーへの反応も良い
【生態】
砂底や砂礫底がある川や湖沼に棲息。ヌマムツやオイカワよりも水がきれいで水流が緩いところを好む。
水棲昆虫、水面に落下した陸棲昆虫、小魚などを捕食するが、藻類や水草を食べることもある、動物食性の強い雑食性。
繁殖期は5〜8月。
【文化・歴史】
カワムツとヌマムツは長い間同種として扱われてきたが、1969年に両者の顕著な差異が指摘され、さらにカワムツのA型(湖沼型)B型(河川型)の2種が提唱され、そのA型をヌマムツ、B型をカワムツとされるようになった。さらには分類も従来のオイカワ属から新たにカワムツ属への変更されている。
カワムツは、ハヤ、ハエ、アカバエ、モト、ムツ、アカマツなど多くの地方名があるが、オイカワやウグイとまとめて「ハヤ」と称されることも多い。
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