【分類・分布】
ヘラブナは、ゲンゴロウブナの体高の高い突然変異体を、大正時代に人為的に品種改良して作りだされた魚で、全国各地の河川、湖沼、管理釣り場などで見られるが、天然種ではない。
ゲンゴロウブナは、コイ目コイ科フナ属に分類される。フナ属にはほかに、ギンブナやキンブナ(マブナ)、ニゴロブナなどが分類されている。もともとは琵琶湖の固有種で、大阪の河内地方で飼育養殖されたものをカワチブナと呼び、さらに品種改良をされたものがヘラブナである(詳細は後述)
【形態】
マブナなどほかのフナ類と比べると、非常に体高があり平べったいのが特徴。体色は青みがかった銀色で、棲息地によっては、金色っぽいもの茶色っぽいものなども見られる。
マブナより成長は早く、5〜6年で30cm級に育ち、なかには60cmほどに育つものもいる。寿命は長く、数十年生きるものもいる。
頭の後ろから背が盛り上がった体型が特徴的なヘラブナ
【生態】
河川の中下流、湖沼、ダム湖、野池など、河川の上流部を除くさまざまな淡水域に棲息する。回遊性が高く、季節によって浅場・中層・深場と移動する。主食は植物性プランクトン。状況によっては、ミミズやユスリカの幼虫といった動物性のものを食べることもある。
産卵期は3月下旬〜7月下旬頃で、沿岸部の水草に卵を産み付ける。
【文化・歴史】
ゲンゴロウブナの養殖が始まったのは、明治時代で、大阪・河内地方の養魚家・橋本福松氏が淀川で捕獲したゲンゴロウブナと京都で飼育されていたゲンゴロウブナを交配させたものをカワチブナと呼び、さらにその中で型の良いものを選んで養殖を続けて作り上げたのが、現在のヘラブナとなっている。
関東地方への移植は昭和初期頃で、今ではさまざまな釣り場で釣ることができる。
ゲンゴロウブナの名前の由来は諸説あり、滋賀県の余呉湖に棲息していた体高のある魚を源五郎という漁師が殿様に献上した、という説のほか、夏によく獲れるため夏頃(げごろ)が転じて源五郎になった説、ゲンゴロオとは黒いという意味で、キンブナ・ギンブナに対して、黒いフナという意味でつけられた、という説などがある。
ヘラブナという名は、体高が高く扁平しているため「平らなフナ」の意味、または篦(へら)のようなフナという意味でつけられたものとされる。
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