【分類・分布】
アオウオは、コイ目コイ科ソウギョ属の淡水魚。コイ科は淡水魚のグループとしては最大で、コイをはじめとして約3000種が分類されている。ソウギョ、レンギョ(ハクレン・コクレン)と並ぶ「中国四大家魚」の一つで、中国を中心とした東アジアに広く分布している。
日本には、明治以降、タンパク源の確保のため、数回の移植が試みられたが、現在は関東平野の利根川水系だけで天然繁殖している。ただし、ハクレンやソウギョと比べると、個体数は非常に少ない。
【形態】
コイに似ているが、ヒゲはなく、頭部はコイより尖っている。口は下方に伸長し、水底にあるエサを吸い込むのに適している。「青」魚という名前ではあるが、体色はコイより黒みがかっている。体型は円に近い丸みがあり、背中は背ビレにかけてやや盛り上がっている。背ビレはほぼ三角形。
成長は4〜5年で1mを超える。日本での釣りの記録は167cmで、国内の淡水魚としては最大級の大きさ。
【生態】
数匹の群れで、エサの多い岩盤や石積み、障害物の周囲の下層に棲息する。食性は雑食だが、動物性を好み、貝類や甲殻類を好む。
産卵の条件は、流れ川で、川底の主要成分が砂と礫の産卵場所があり、そこから受精卵が水中をゆったり流れ下りながら36〜48時間後に孵化するのに十分な流程があること。流れのない湖沼や条件を満たさない河川では産卵しない。そのため、利根川水系のみで繁殖した。アオウオは5月下旬頃から棲息域である下流から50〜100kmほど移動して河口から130kmほどの中流部へ遡上し、そこでて梅雨時になると産卵が行われる。
【文化・歴史】
「家魚」とは、家畜と同様の概念で、中国ではアオウオを池で育てる「養魚」が行われ、中国の食文化のなかでもごく普通の魚。日本へはタンパク源となることを目的として移植されたが、現在ではそのような需要はない。ただし、やや神経質だがおとなしく飼いやすいとされるアオウオは、観賞魚としての需要があり、高値で取り引きされている。
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