【分類・分布】
ウナギ目ウナギ科ウナギ属に分類される。ウナギ目には15科141属の800種近い魚が分類されるが、ウナギ科はウナギ属の1属のみで、日本のウナギのほかヨーロッパウナギ、アメリカウナギ、オオウナギなどが分類されている。
姿形の似たアナゴは、ウナギ目アナゴ科アナゴ属。ほかにウナギ目の主な釣魚としては、ウツボなどがいる。
ウナギは、太平洋側では北海道の日高地方以南、日本海側では石狩川以南に分布する。琉球列島ではオオウナギのほうが多い。
【形態】
細長く、体表は粘膜で覆われてヌルヌルしている。腹ビレがなく、背ビレと尾ビレ、尻ビレがつながっている。体色は背側が暗茶色で腹側は白、または黄色みがかっている。
成魚になると体長は1mほどになり、最大では1.3mにもなる。
遊泳速度は速くなく、身体をくねらせ波打つようにして推進力を得る蛇行形の遊泳方法をする(アナゴ、ハモ、ウツボなども同様)。
さばく前のウナギ。胸ビレ以外のヒレはすべてつながっている特徴的な体型だ
【生態】
成魚は、河川の中・下流、河口域、湖沼などに棲息。まれに渓流部にも棲息している。淡水・汽水・海水のいずれにも適応するため、自由に行き来して生活するが、琵琶湖など大規模な湖沼では淡水域のみで生活することが多い。
仔魚はアナゴ同様、その形から葉形仔魚(レプトケファルス幼生)と呼ばれる。海で産卵され(詳しくは後述)、遊泳力のない葉形仔魚は、海流にのって移動する。成長すると偏平な体型から成魚同様の円筒状になり、この時期の稚魚はシラスウナギと呼ばれている。黒潮にのって沿岸に着いたしらすウナギは、日中は河口や沿岸の底付近などに隠れ、夜間に遡上する。川や湖沼にたどりつくと、日中は土手の穴などに隠れ、夜間になるとエサを求めて活動する。主なエサは小魚、水棲昆虫、甲殻類など。
河川で5〜10数年暮らす。成熟するまでには、早くて4年かかる。
産卵場所についてはごく最近まで特定ができていなかったが、近年ではマリアナ海溝に産卵場所があることが突き止められている。
【文化・歴史】
ウナギは日本における重要な食用魚のひとつ。養殖技術が確立されているので、食用としては輸入ウナギの割合が非常に高い。国内の養殖は浜名湖周辺、鹿児島などで行われている。ただし、人工孵化や孵化直後の養殖技術がまだ商業的に実現な域まで確立されていないため、養殖に必要なシラスウナギを海岸で捕獲して成魚になるまで育てる養殖方法となっている。
しかし、2013年にはウナギは環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠB類に選定されており、養殖や資源保全については、今後も重要な課題となっている。
古くから日本人には食用された魚で、「万葉集」の大伴家持の歌にも、ウナギを食べて夏バテを防ぐ様子が詠われている。江戸時代には庶民の食べ物として親しまれていた。
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