【分類・分布】
正式和名がライギョという魚はおらず、スズキ目タイワンドジョウ科のカルムチー、もしくは同科に属する魚の総称として呼ばれる。日本には、カルムチー、ライヒー(タイワンドジョウ)、コウタイの三種が棲息している。もともとは日本に自然分布はしておらず、朝鮮、台湾から移入されたもの。
コウタイは、沖縄県の石垣島とその他一部の地域のみに生息する30cmほどの小型種なので、釣りの対象となっているのは、ほぼカルムチーとライヒーだ。
カルムチーは、ほぼ全国的に分布。ライヒーは近畿地方の一部、沖縄県にのみ棲息している。
【形態】
カルムチーは大型の暗色斑が体側にほぼ2列に並び、斑紋の縁のほうが色が濃く、内側がやや薄い。しかし個体差があり、大型になると体色が黒ずんでくるので、斑紋の識別がしにくいものもいる。90cm程度まで成長するが、まれに1m超の個体も見られる。
ライヒーは斑紋がギザギザしていて、数がカルムチーより多い(ただしこちらも個体差が大きい)。70cmを超えることはあまりなく、50cm前後のものが多い。
扁平した頭の形などから英名はスネークヘッド。肉食魚で小動物などまで食べる
【生態】
両種とも、平野部の湖沼、よどんだ川やワンドなどの止水域、水生植物の豊富な泥底の場所を好む。春から秋には活動するが、冬場は泥底や枯れ草などに潜って冬眠する(冬でも活動する個体もいる)。
生態的な特徴として、ライギョ類は空気呼吸が可能。といっても肺があるわけではなく、口から空気を吸い込み、鰓の近くの上鰓器官という粘膜から酸素を吸収する。
食性は肉食で、カエル、小魚、ザリガニなどのほか、ネズミ、トカゲ、小鳥なども食べる。
産卵期は5〜8月頃。水草やゴミを集めてペアで産卵床を作り、1万個以上の卵を数度にわたって産む。産卵後もペアで卵や仔魚を守る。
【文化・歴史】
カルムチーは、1923年頃、朝鮮半島から移入され、関西を中心に全国へ広がった。ライヒーは1906年に台湾から移入。タイワンドジョウと呼ばれるのは、そのため。ドジョウとは分類的にはまったく違う。
一時は、在来の生物に影響を与えるものとして、以前の「要注意外来生物」に指定されていたが、平成27年に新たに発表された生態系被害防止外来種には、指定されていない。
雷魚という名前は、悪天候時に行動することから雷を呼ぶ魚と見られたからとも、獰猛な捕食行動が雷が鳴るまでくわえた獲物を離さない、と見られたからともいわれる。
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