【分類・分布】
トラウト=鱒(マス)という名がついているが、イワナ、ブルックトラウト、オショロコマ、アメマスなどと同属のサケ目サケ科イワナ属に分類される。原産地は、カナダ全域と五大湖周辺のアメリカ北部。ヨーロッパ各地、南米各地、ニュージーランドなどにも移植されている。日本では、自然での棲息は栃木県の中禅寺湖のみ。
【形態】
体色は緑褐色、銀色、茶褐色など、棲息環境と個体によって異なる。体全体と背ビレ、脂ビレ、尾ビレなどには、体色より淡い色の斑点が全体に散っている。ブルックトラウトほど顕著でないが、頭や背には虫食い状の斑点もある。
体型は細長く、尾柄部も細い。ブルックトラウトとは、尾ビレの切れ込みがレイクトラウトのほうが深いことや背ビレの位置がやや後方にあることなどで見分ける。
日本においては、最大級の記録のレイクトラウト100cm・12kg。
【生態】
適水温が4〜10℃という冷水を好み、酸素量が豊富な水域に棲む。夏は深層部で、初春や晩秋には沿岸の岩礁地帯で生活している。
海外では研究によりレイクトラウトには2つのタイプがいることがわかっている。浅場でプランクトンを主食とするタイプは成長がゆっくりで、成長しても比較的小型。深場で小魚をエサとして成長するタイプは、大型になるが個体数は少ない。日本で唯一レイクトラウトが自然繁殖している中禅寺湖も同様の傾向が見られる。
食性は雑食性で、小型のうちはユスリカなどの水棲昆虫、甲殻類などを捕食するが、大型になるにつれ、ワカサギなど小魚も補食するようになる。
産卵期は秋頃。成長は非常に遅く、成熟年齢は3〜4歳で、3年では体長は30〜50cmほど。寿命は20〜25年で最大1m・15kg超まで成長する。イワナの仲間では一番大型に成長し、海外では150cm・45kg超の記録もある。
ブルックトラウトと交雑することが知られているが、そのような交雑種はほとんど生殖機能はもたない。人工孵化により交配させたものはスプレイクと呼び、管理釣り場などで放流されている。
【文化・歴史】
昭和41年にカナダのオペオンゴ湖から水産庁淡水区水産研究所日光支庁に導入され、中禅寺湖にも放流されたのが移入の最初とされている。その後、同じオペオンゴ湖から昭和43年に、オンタリオ湖から昭和44年に移入されている。
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