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バラタナゴ【薔薇鱮】生態編

【分類・分布】

コイ目コイ科バラタナゴ属に分類される淡水魚。日本には現在、ニッポンバラタナゴとタイリクバラタナゴが棲息しており、場所によっては交雑個体も見られる。
ニッポンバラタナゴは、日本の固有種で、大阪の淀川水系、奈良の大和川水系、岡山、香川、福岡、佐賀、熊本、大分、長崎県に分布。以前はもっと広域に分布していたが、年々分布域が狭まっている。環境省レッドリストでも絶滅危惧ⅠA類(CR)に分布されており、絶滅が危惧されている。
タイリクバラタナゴは、中国南部、台湾、朝鮮半島に分布する種で、戦時中に中国産の魚の移入に混じって日本に来たとされる。現在では、各地に分布が見られる。
ニッポンバラタナゴと交雑しやすいこともあり、環境省は「生態系被害防止外来種」(以前は「要注意外来生物リスト」とされていたが、同リストは平成27年月に廃止)、日本生態学会は「日本の侵略的外来種ワースト100」(リンク先はWikipedia)に選定している。

【形態】

ほかのタナゴ類に比べて体高があり、平べったい。体色は銀色で虹色の光沢がある。繁殖期のオスにはさらに鮮やかな婚姻色が現れる。バラタナゴの「バラ」は、婚姻色がバラの花のように鮮やかであること由来。学名のRhodeus ocellatusのRhodeusも、バラを意味するギリシャ語が由来となっている。口ヒゲはなく、メスよりオスが大型で、ニッポンバラタナゴは全長5cmほど、タイリクバラタナゴは8cmほど。
両種は交雑しやすいこともあり、形態のみで判別することは難しい。

写真はタイリクバラタナゴのメス。オスより地味な体色。

【生態】

河川の中〜下流域、用水路、溜池、湖沼などに棲息するが、基本敵には止水域を好む。
付着藻類など植物食が中心だが、小型甲殻類、底生生物なども食べる。
産卵は春〜夏に複数回に渡って行われる。ドブガイなど二枚貝にメスが出水管から産卵管を差しこみ産卵し、オスが貝の入水管の付近で放精することで、貝が精子を取り込んで受精する。仔魚は孵化後数週間から1ヶ月ほど貝の中で過ごした後、8mmほどに成長すると、貝の中から泳ぎ出る。寿命は2〜3年。
タイリクバラタナゴは、ニッポンバラタナゴより産卵回数が多く、排卵数も多くて成長が早いため、棲息地での勢力を広げ、ニッポンバラタナゴを追いやってしまう存在となっている。

【文化・歴史】

前述のように、タイリクバラタナゴは、戦時中にソウギョ、ハクレンといった魚を中国から移入した際に混入して運ばれてきたといわれ、その後、稚アユの放流、ヘラブナの移植、飼育個体の遺棄など複合的な要因で、全国に分布域が広がっていった。
ニッポンバラタナゴ は、絶滅が危惧されていることから、各地の動植物保護条例に基づいて、捕獲を規制する動きも広がっている。また、ニッポンバラタナゴが棲息・繁殖できる環境を整えていこうとする自治体や各種団体も見られる。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池・・・と、ホソのマブナから南海のジャイアント・トレバリーまでを釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
出版社で雑誌編集に携わった後、独立。それを機に家族とともに房総の漁師町へ移住する。釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者。詳しくはこちらへ。

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