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ウメイロ【梅色】生態編

ウメイロ【梅色】

【分類・分布】

フエダイ科の魚は熱帯の沿岸域を中心に世界中で100種類以上がおり、そのなかでウメイロはフエダイ科アオダイ属に分類され、同じ属には8種が分類されている。そのなかで日本国内で棲息が確認されているのは、ウメイロ、アオダイ、シマアオダイ、ヤンバルシマアオダイ、ヨゴレアオダイの5種。
ウメイロは西大西洋からインド洋までの温暖な海域に分布している。日本では、主に伊豆諸島以南に棲息し、日本海側では石川県でも確認されたことがある。漁獲量は少ないが、近年は高級魚として都市のスーパーなどに出回ることもある。

【形態】

成魚の体長は40㎝に達する。体色は青紫色に少し緑色を混ぜたような色合いで、第1背ビレの基部から尾ビレにかけて、背部がきれいな黄色を呈することが特徴的。
体は整った楕円形で、体高は比較的低い。眼隔域は広く、膨出している。吻(ふん)は著しく短く、やや受け口。上顎歯(じようがくし)は数列の歯からなり、外側の1列の歯はやや大きく、内側には絨毛状歯が並んでいる。下顎歯も、上顎歯と同様に外側の1列の歯は若干肥大しており、その内側には、絨毛状歯帯が前歯に限って見られる。
胸ビレは長く伸び、頭長より長い。尾ビレは大きく2叉し、中央後縁は切れ込んでいる。
同属のアオダイもよく似ているが、アオダイは体色が暗青色だが、ウメイロは背部が黄色いのが大きな違い。
また、タカサゴ科のウメイロモドキは本種に非常によく似ているが、見分けるポイントがいくつかある。
一番解りやすいのが、ウメイロモドキは背ビレがウロコで覆われていて、ウメイロは背ビレのウロコがなく、透けているところ。
そのほかに、側線有孔鱗数がウメイロは70前後あるのに対し、ウメイロモドキは55前後であることなどがある。


【生態】

水深30~150mくらいの岩礁域の底層を生活圏としており、大きな群れをつくり遊泳する。稚魚は沿岸の浅い岩礁域に棲息しているが、大型の個体は大陸棚上の、水深200mほどの深いところにも見られる。動物性プランクトンが主食だが、小魚や甲殻類なども捕食する。

【文化・歴史】

「五月黄梅熟する節多く捕る故にウメイロと名づく、漁人海中に魚多きを色といふ、口は色なり、一節この魚梅熟の色をなす故に名づくと」。
紀州藩の畔田翠山(くろだすいざん)によって書かれた、日本で初めての総合水産動物誌である『水族志』(1839年)の中でこう書かれていることから、ウメイロとは、もともと紀州、土佐などで呼ばれた名であるようだ。
紀州南部は、現在でも梅の名産地として知られており、この地方で黄梅が熟す5月頃になると釣れ始めることから、ウメイロと名付けられた。その他、体型が梅の実の形に似ていることに由来しているという説もある。
また、地域によってさまざまな名で呼ばれている。オキタカベ(和歌山)、ボウタ、ボウタイメイロ(小笠原)、ウメロ、ウメノ、ウグイス、ヒワダイ(和歌山)、イエミズ(山口)、キホタ(鹿児島)、キーウンギャル(奄美)、グルクンマチ、シーヌクワー(沖縄)など。

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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池・・・と、ホソのマブナから南海のジャイアント・トレバリーまでを釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
出版社で雑誌編集に携わった後、独立。それを機に家族とともに房総の漁師町へ移住する。釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者。詳しくはこちらへ。

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