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イトヨリダイ【糸撚鯛】生態編

イトヨリダイ【糸撚鯛】

【分類・分布】

暖海性の魚で、奄美・琉球諸島を除く本州中部以南から、東シナ海、台湾、南シナ海、東南アジア一帯、オーストラリアまで棲息している。
イトヨリダイ科イトヨリダイ属に分類され、同じ属に分類される魚には、本種のほかにヒメイトヨリ、シャムイトヨリ、ニホンイトヨリ、ソコイトヨリ、モモイトヨリなどがいるが、イトヨリダイとともによく見かけるのは、房総半島以南に棲息するソコイトヨリ。

【形態】

体型は細長く、やや側偏しており、背側は濃いピンク色、腹側は淡いピンク色の体色。体側に6~8本の鮮やかな黄色の筋が走り、背ビレ、尻ビレの先端部・基部も黄色である。深く二叉した尾ビレ上葉は糸状に長く伸びているのが特徴で、この部分も黄色になっている。エラブタ後部の側線の始部には、生存時および鮮度がよいときは赤い小さな斑がある。
ソコイトヨリは体側の線の数が2~3本と少ないことと、尾ビレの上葉が伸びてはいるが、イトヨリダイのように糸状でないこと、腹側が鮮やかな黄色であることなどで見分けられる。
イトヨリダイ【糸撚鯛】
イトヨリダイ。体側の線が多く、尾ビレから糸のように細く伸びた部分があるのが特徴
イトヨリダイ【糸撚鯛】ソコイトヨリ
ソコイトヨリ。腹側全体が明るい黄色であること、体側の線がイトヨリダイより不鮮明で少ないことなどが特徴

【生態】

水深40~100m程度の砂泥底に棲息している。成魚は70m以深に多いが、もっと浅い場所で釣れることもある。
肉食性で、小魚や甲殻類、小型の底棲生物を捕食し、とくにエビ・カニ類を好む。
産卵期は5~8月で、直径0.6~0.7㎜の分離浮生卵を産む。卵は24℃の水温下では28時間ほどで孵化。仔魚のうちは水深30mほどの浅場で過ごし、成長するにつれて深場へ移動する。体長は1年で10~12㎝、2年で20~25㎝、3年で30㎝以上に成長する。寿命は3~4年とされる。
ソコイトヨリは、その名の通りイトヨリダイよりも深場の水深150~250mほどの海域に棲息するとされるが、釣り場によっては水深50m以浅でも釣ることができる。

【文化・歴史】

イトヨリダイは漢字で糸撚鯛、糸繰鯛、糸縒鯛、金糸魚などと書かれる。これは、尾ビレの先端が黄色の糸状に伸びた様子から付けられたもので、英名もGolden threadfin bream=金色の糸のヒレを持つタイの仲間、と同様の語源となる。
アカナ、イトヒキ、アバイトヒキ、イトヒキコビリ、イトグジ、サンジョウゴメなど地方名も多いが、やはり特徴的な尾の形状を語源にしたものが多い。
関東ではそれほどポピュラーな魚ではないが、関西、四国地方ではマダイの代わりに祝い魚として用いられることもある。讃岐地方では「三升米」という別名がある。これはイトヨリダイ1尾に米三升の価値があるということからきた名前であり、当地では珍重されてきた証のようだ。
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プロフィール

生まれ故郷近くを流れる利根川・手賀沼にはじまり、国内外の海・川・湖・沼・池・・・と、ホソのマブナから南海のジャイアント・トレバリーまでを釣り歩く「さすらいの五目釣り師」。また、生来の手作り好きが高じて、20代はログビルダー、塩作りなどの職も経験。
出版社で雑誌編集に携わった後、独立。それを機に家族とともに房総の漁師町へ移住する。釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者。詳しくはこちらへ。

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